橉木 バラ目/バラ科/バクチノキ属 花期/10月(※注記)
学名/Laurocerasus spinulosa (Siebold & Zucc.) C.K.Schneid.
自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IA類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IB類」
#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
丘陵地や低山に生える常緑の高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。広い意味でサクラ(桜)の一種。バクチノキ属に分類されているも、花はともかく、樹皮が糜爛(びらん)することはなく、葉の形状もまったくバクチノキ(博打の木、ビランジュ)には似ていない。『神奈川県植物誌2018』に’日本固有種’とあるのは誤りで、日本と中国(China)に分布がある。神奈川県内では湯河原町に自生するのみ。逗子市・神武寺の辺りにも昭和時代(1926-1989)の前期だか中期だかにはあったらしいが、長いこと存在が確認されていないので滅したか。県内では公園や民家の庭などに植栽されることもまずないので、目にする機会はほぼ皆無。
#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
満開直前の#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
満開直前の#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
満開の#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/16
葉は互生。成木では鋸歯(きょし)ない全縁(ぜんえん)で、縁(ふち)は波打つ。先端は尾状(びじょう)に伸びる。サクラの仲間とは思えない形状である。若木では鋸歯縁。幼木ではヒイラギ(柊)と見紛うほど、鋸歯が棘(とげ)状である。
#リンボクの葉 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
#リンボクの葉裏 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
#リンボクの幼木の葉 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/16
#リンボクの幼木の葉 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/16
幹はいかにもサクラの仲間といった様子で、横に皮目(ひもく)が入る。樹皮だけは明らかにサクラなのに葉がサクラっぽくない、というものを山林で見かけたらリンボクを疑いたい。
#リンボクの幹(樹皮) 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
#リンボクの幹(樹皮) 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
化石でリンボクといったら本種とはまったくの別物のリンボク(鱗木、学名からレピドデンドロン(Lepidodendron)とも)のことである。
リンボクの花
サクラの仲間でありながら、バクチノキ(ビランジュ)、セイヨウバクチノキ(西洋博打の木)、ウワミズザクラ(上溝桜)、イヌザクラ(犬桜)、と同じ総状花序という特殊な形態の花を付ける。これらのうち秋咲き(晩夏咲き)するのはバクチノキと本種である。花色は白。
#リンボクの蕾 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/12
#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/16
傷むのが早い。一個の小花がきれいに咲いているのは一日から三日間くらいしかないのではないか。
#リンボク 厚木市・神奈川県自然環境保全センター 2024/10/16
※注記/令和6年(2024)の夏は歴史的な猛暑日が長く続いたため、本来の開花時期より最大で約一ヶ月遅れた可能性があるかもしれないし、ないかもしれない。バクチノキ(ビランジュ)の開花はやや遅れた。
東京都文京区・#小石川植物園(E6の「52」東側、E9の北東端、F11の「51」西方の園路南側)、東京都調布市・#神代植物公園
厚木市・#神奈川県自然環境保全センター(樹木観察園 E18~E19の北側・「カマツカ」の右隣、樹名板なし)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)
自然環境保全センターで咲いていましたか。
樹名板の無い木を同定されるとは、流石ですね。
自然環境保全センターは、谷地の植物が減り最近行っていませんが、樹木観察園にはいろいろあるのですね。