森茨、森薔薇 バラ目/バラ科/バラ属 花期/5月上旬
学名/Rosa onoei var. hakonensis (Franch. & Sav.) H.Ohba
稀少
#モリイバラの一個だけしか咲かない花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
山地に生える落葉低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。ノバラ(野薔薇)と総称される野生のバラの一種。日本固有種。神奈川県内では丹沢と箱根に分布があり、湘南・鎌倉・三浦半島には自生なし。もしかしたらどこぞのバラ園にひっそり植栽されているかもしれないが、大船フラワーセンター以外で見かけた記憶はない。観賞価値がかなり低いため、一般的な公園や民家の庭などで栽培されるものではない。
#モリイバラの植栽地点(左下に樹名板)、但し大半は混入した#ノイバラが占める 大船フラワーセンター 2025/05/04
開花中の#モリイバラ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
開花中の#モリイバラ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/07
開花中の#モリイバラ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/08
神奈川県内に分布するノバラは、ノイバラ(野茨)、アズマイバラ(東茨)、テリハノイバラ(照葉野茨)、モリイバラ、フジイバラ(富士茨)、サンショウバラ(山椒薔薇)、の六種。このうち、湘南・鎌倉・三浦半島に自生しているのは、ノイバラ、アズマイバラ、テリハノイバラ、の三種である。
神奈川県に自生するノバラの見分け方 | ||||||
ノイバラ | アズマイバラ | テリハノイバラ | モリイバラ | フジイバラ | サンショウバラ | |
樹形 | 這性 | 木立性 | ||||
花序の小花数 | 特に多い | 少ない | 1個 | やや多い | 1個 | |
花の大きさ | 小輪 | 小輪 | 小輪 | 小輪 | 小輪 | 大輪 |
花の色 | 白 | 白 | 白 | 白 | 白 | 薄ピンク |
花柄 | 有毛 | 無毛 | 赤い腺毛 | 無毛 | ||
頂小葉 | 特に大きい | |||||
側小葉 | 3~4対 | 2~3対 | 3~4対 | 2~3対 | 3~4対 | 4~9対 |
葉軸 | 有毛 | 無毛 | 無毛 | 有毛 | ||
棘 | 鉤形 |
モリイバラの主な特徴は以下の通り。花は単発で一個だけしか咲かない。花柄(かへい)に赤い腺毛(せんもう)が多い。側小葉は2~3対で、頂小葉が特に大きい。結構癖が強い特徴を有しているので、見分けはさほど難しくないのではないか。
#モリイバラの頂小葉が大きい葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#モリイバラの頂小葉が大きい葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#モリイバラの白っぽい葉裏 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
モリイバラの花
枝先に近い葉腋(ようえき)から柄(え)を伸ばして、花をたった一個だけ咲かせる。花数がたいへん少ない上に、一日花ではなかろうが一個の花は短命なため、開花期間が短く鑑賞に難。フジイバラより少しばかり早咲き。
#モリイバラの蕾 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#モリイバラの蕾 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#モリイバラの一個だけしか咲かない花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/07
#モリイバラの一個だけしか咲かない花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#モリイバラの花のサイズ感 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#モリイバラの雄蕊が傷んだ花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
花柄には赤っぽい色をした腺毛が多く生える。
#モリイバラの赤い腺毛が生える花柄 鎌倉市・大船フラワーセンター 2025/05/04
#大船フラワーセンター(バラ園、樹名板あり、ノイバラによる浸食を受けてごちゃごちゃ混在してしまっているため誤認と生育不良を招いている状態が長年改善されない=大きな花序を付けているのはノイバラ)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)