ソバナ

蕎麦菜、岨菜 キク目/キキョウ科/ツリガネニンジン属 花期/6月~7月
学名/Adenophora remotiflora (Siebold & Zucc.) Miq.

稀少

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

山地に生える多年草。名は、柔らかい若菜を蒸したり茹でたりしてソバ(蕎麦)のように食べたことから。または、切り立った険しい場所を意味する岨(そば、稜)に生える、食べられる菜っ葉、の意。神奈川県内では、陣馬山(じんばさん)周辺など最北の相模原市内、あるいは丹沢辺りに自生が多からずあるらしい。湘南・鎌倉・三浦半島には分布なし。園芸店でも希に山野草(春植えの宿根草)として売られていることがないでもないが、希。山地のやや湿った草地や崖などに生えるようなので、冷涼な気候(に冷たい水)を好むと思われる。であれば湘南・鎌倉・三浦半島の夏の高温多湿はお気に召さないはずで、栽培されていることはかなり希。水はけの良い(元肥として緩効性化成肥料を混ぜた)土に植え、それでいて水を切らさず、花芽をしっかり付けた頃からは(気温がおよそ25℃を超えるようになったら)昼の直射日光を避けて風通しの良い半日陰ないし明るい日陰で栽培する。固形肥料を与えるのは春のみ、日差しが強めになってからは薄めの液肥に切り替える。適した場所であれば地植えで栽培することも可能だが、環境が気に入らないと簡単に枯れる。草丈はおよそ1m未満、茎は細いのですぐ倒れ、荒れた姿となる。寄りかかれる他の草花が周囲にあると座りの良い姿となろうか。

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナはよく、花の見た目がツリガネニンジン(釣鐘人参)にそっくりで紛らわしいものとして名が挙がる。ユキノシタ(雪の下)に対するハルユキノシタ(春雪の下)コブシ(辛夷)に対するタムシバ(田虫葉)、のような存在。湘南・鎌倉・三浦半島では見分けは簡単で、それはツリガネニンジン・ユキノシタ・コブシであって、ソバナ・ハルユキノシタ・タムシバではない、とあっさり決めつけてしまってまず問題ない。後者は自生がなく、栽培されることもまずない。ソバナとツリガネニンジンの違いは、花の形状がどうとか、雌蕊が花冠から突き出るとか突き出ないとかいうが、その辺りは結構どうでもよくて、葉の違いで見分ければ良い。ソバナの葉は互生、ツリガネニンジンの葉はふつう輪生、である。葉がまったく輪生していなかったらそこではじめてソバナを疑えば十分。葉っぱ一枚の形状も質感もまったく異なる。湘南・鎌倉・三浦半島に自生があり、ときに栽培もされるのは、葉が輪生するツリガネニンジンの方。99%以上の確率で、見かけたそれはツリガネニンジンである。ソバナは若葉が食用にされるだけあって、葉は薄くて柔らかめ。ツリガネニンジンのようにぱりっぱりに硬いものではない。

若いソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/29

若い#ソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/29

若いソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/04/01

若い#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/04/01

ソバナの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナの茎下方の葉には長めの柄(え)がある 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナの茎下方の葉には長めの柄(え)がある 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナの黄色く枯れてきた下葉(栽培環境不適切の合図) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/12

#ソバナの黄色く枯れてきた下葉(栽培環境不適切の合図) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/12

小林製薬からそばかす対策の「ソバナC」という薬用スキンケアクリームが販売されているが、”そばかす無し”に因んだ名前と思われ、植物のソバナとは関係ない。

ソバナの花

花冠は漏斗(ろうと)状の鐘形。ツリガネニンジンの花よりも確かに明らかな円柱形になる。ただし、紛らわしい形状のツリガネニンジンもあるので、形状だけで判別してはいけない。ツリガネニンジンよりやや花は大きい。雌蕊は花冠から突き出ない。対してツリガネニンジンの雌蕊はやや長めなので花冠から突き出て見える、という傾向はあるも、見分けの決定打にはできない。萼片は三角形で、花冠に沿い気味に付く。ツリガネニンジンの萼片は細い線形で、ぱっと開いている。花色は少しばかり薄めな紫色。濃淡は個体差ある模様。白花も。ことごとく下向きに咲く。一つの花の寿命は数日のみとかなり短いはずである。咲き終わった花冠はしなびて茶色く枯れるも、落ちない。以上の特長はあくまでも、傾向。ツリガネニンジンの仲間は変異が大きいので、杓子定規では測れない。

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナの花の内側 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナの花の内側 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ、花冠と雌蕊の長さはほぼ同じ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

#ソバナ、花冠と雌蕊の長さはほぼ同じ 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22

ソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/12

#ソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/12

萼片がやや細めでよく開いたソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/21

萼片がやや細めでよく開いた#ソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/21

花冠から雌蕊が突き出たソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/21

花冠から雌蕊が突き出た#ソバナ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/21

花がちょっと横向きに咲いているものがそこいらの公園や民家にあったら、園芸栽培される外国産のカンパニュラ(ホタルブクロ属に分類される植物の総称)の仲間あたりかもしれない。

ソバナの実

ソバナの未熟な実 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/07/26

#ソバナの未熟な実 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/07/26

ソバナの未熟な実 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/07/26

#ソバナの未熟な実 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/07/26


東京都文京区・#小石川植物園、東京都調布市・#神代植物公園(山野草園)、東京都八王子市・高尾山、東京都八王子市・#高尾山さる園・野草園、横浜市戸塚区・#俣野別邸庭園

藤沢市・#遠藤まほろばの里 藤沢えびね・やまゆり園(300円)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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ツリガネニンジン