ミミナグサ

耳菜草 ナデシコ目/ナデシコ科/ミミナグサ属 花期/3月~6月
学名/Cerastium fontanum Baumg. subsp. vulgare (Hartm.) Greuter & Burdet var. angustifolium (Franch.) H.Hara

自生種稀少保護

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

道端や畑に生えるとかいう一年草。嘘をつけ、という感じしかしないが、元来はどうということのないありふれた雑草だったとかどうとか。しかし現在その立場は近似の侵略的外来種オランダミミナグサ(和蘭耳菜草)にほぼ完全に奪われており、在来種であるミミナグサを見かけることは現実のところはまずない。市街地周辺に生えているのはまずもって全部が外来種オランダミミナグサの方である。とはいえミミナグサも神奈川県内では分布は山地も含めてほぼ全域に点々とあるようなので、絶滅危惧種に指定されるほどではないらしい。湘南・鎌倉・三浦半島で見かけた覚えはないものの(ろくに探してもいないけれども)、神奈川県植物誌調査会の面々は何地点かでめざとく見つけて標本を採取しているので、あまり人が立ち入らない場所、自然が多めに残っている里山周辺の土がやや湿った田んぼや畑周辺、そういったところを探せばもしかしたら遭遇できる機会はゼロではないのかもしれない。日当たりが少々よろしくない林床にあることも。名は、葉の形状がネズミ(鼠)の耳のようで、若葉が食用にできることから。

湿地近くに生えたミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

湿地近くに生えたミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

湿地近くに生えたミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

湿地近くに生えたミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ウシハコベとミミナグサの比較 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ウシハコベとミミナグサの比較 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの葉 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの葉 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの葉 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの葉 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサとオランダミミナグサの見分け方は意外と簡単で、(生育環境による違いや個体差もあろうが)細かいことをどうこういうまでもなくまずぱっと見の全体的な印象で違う。身近にしこたま生えているオランダミミナグサの姿がどういったものかをしっかり記憶している人であれば、一目で違う植物だと直感できるだろう。あとは細部を比較して確定させる。最も決定的な区別点は、果実の柄(え)の長さの違い。オランダミミナグサの果柄(かへい)は萼より短いもの。ミミナグサの果柄は花が咲き終わったあとに明らかににょきっと長く伸びて、萼とほぼ同長ないしもっと長いものとなる。他には、ミミナグサは、茎などに生えている毛が気持ち短めなのでけばけば感が若干弱め、花数が少なめなのでさほど密に集合した花序とはならない、閉じた花(白い部分)があまり萼から突き出ない、果実は逆に大きく長くなるので萼から目立って突き出る、といった点を総合的に勘案して見分ける。なお『神奈川県植物誌2018』に、茎が紫色を帯びていたらミミナグサ、黄緑色だったらオランダミミナグサ、と検索表に記されているが、茎の色は個体差がありぜんぜん当てにならないので、参考にしてはいけない。

ミミナグサの特長(果柄>萼) 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの特長(果柄>萼) 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの花

オランダミミナグサと同形と感じられるもの。

ミミナグサ(青花はタチイヌノフグリ) 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ(青花はタチイヌノフグリ) 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ(花径8mm) 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサ(花径8mm) 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの実

オランダミミナグサより、果柄が明らかに長く、実は萼から長く突き出る。

ミミナグサの実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの熟して口を開けた実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24

ミミナグサの熟して口を開けた実 秦野市・葛葉緑地 2021/04/24


横浜市戸塚区・舞岡公園、横浜市栄区・横浜自然観察の森(タンポポの道9~10)?

光の丘水辺公園、東慶寺?

秦野市・葛葉緑地

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『牧野日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

オランダミミナグサ

ウシハコベ

ノミノフスマ

『ミミナグサ』へのコメント

  1. ケンモチ ナオミ 投稿日:2022/02/20(日) 21:21:00 ID:10b4d16b6 返信

    草地でミミナグサを もしかしたら過去に見ていたかもしれない、、のに。
    その草姿をみんな皆 ハコベと雑に見ていました。

    3月以降の気候で小さな白花を咲かせるんですね
    ウシハコベ、オランダミミナグサとミミナグサの見分けが出来たら楽しい!
    散歩しながら探してみようと思います。
    簡単ではなさそうだな・・・の予感もしますがミミナグサを見付けたら
    お宝発見という事で、フフフ。

    • mirusiru.jp 投稿日:2022/02/20(日) 22:55:42 ID:a3d1e26fe 返信

      外来種に駆逐されて姿を消しつつある在来種が大好きなケンモチさん、こんばんは。気が合いますね。
      私もその口で雑にしか見ていなかったので、恥ずかしながら”湘南・鎌倉・三浦半島”のエリア内での写真が一枚もありません。秦野だけ。この春、ゲンゲ(レンゲソウ)の咲く頃に田んぼの畦でも探してみようかなと思っています。何気なく踏んづけていたかわいい感じのあいつらの名前が分かるだけでも、楽しいですよね。ミミナグサは、どうなんでしょうね、いわゆる里山の方面にはあるとかどうとかいう噂は耳にしたことはありますが、さて、どうでしょう。私も徒労に終わる予感は正直していないでもないです。検索してもほとんど情報は出て来ませんから、そんじょそこいらにはない可能性も。見つけたら場所をおしえてくださいね。オホホ