ホソエガラシ

細柄芥子 アブラナ目/アブラナ科/キバナハタザオ属 花期/2月中旬~5月中旬
学名/Sisymbrium irio L.

食用外来種駆除稀少

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ヨーロッパ原産という一年草(越年草)。見慣れない感じのナノハナ(菜の花)の一種。帰化雑草として市街地に生えているが、神奈川県内ではまだ限られた場所にしかないようなのでほとんどの人は目にしたことがないかもしれない。茅ヶ崎市内の新湘南バイパス(国土交通省、NEXCO中日本)下の側道沿いには大量に定着しているので、建設の際に搬入された土砂に種子が紛れ込んでいたものと思われる。高架の新湘南バイパスに日光を遮られて薄暗く、朝ないし夕方のみ日光が当たるかもしれない、かさかさに乾燥した痩せた側道沿いの、特に競合する雑草が他にない所に独占的に茂っている。アブラナ科の植物なのでまさか日陰を好むというわけではあるまいが、現状としては環境の悪い所に限って帰化している。隣接する田んぼの畔などに侵入を試みる個体もないわけではないのだが、他の草より優位な立場は獲得できていない。草丈は(一般的なナノハナと同程度の)人の腹くらいまで。ただし、ナズナ(薺)くらいの貧相なものもあって、個体差はかなり大きい。名は、細くて長い果柄(かへい)が特徴的な、カラシナ(芥子菜)の仲間、の意と思われる。

咲き始めた若いホソエガラシ 茅ヶ崎市今宿・新湘南バイパス側道 2020/02/27

咲き始めた若いホソエガラシ 茅ヶ崎市今宿・新湘南バイパス側道 2020/02/27

歩道沿いに生えた、典型的な姿のホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

歩道沿いに生えた、典型的な姿のホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

貧相なホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

貧相なホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

やや小型なホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

やや小型なホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

アスファルトの隙間に生えたホソエガラシ(左向きの花はノゲシ) 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

アスファルトの隙間に生えたホソエガラシ(左向きの花はノゲシ) 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/10

ホソエガラシ(オレンジ花はナガミヒナゲシ) 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/10

発芽は秋あたりか。ロゼットを作り、春以降に茎を伸ばしてゆく。

ホソエガラシのロゼット 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシのロゼット 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

葉は互生で、先端はよく尖る傾向があり、タンポポ(蒲公英)のように羽状深裂。側片の数は、茎上部では少なく、茎下部になるに従って多数に増える。無毛。ヨーロッパではロンドン・ロケット(London rocket、ロンドンのルッコラ)と呼ばれてサラダにされているようである。ほのかにカラシのような風味があり、一瞬だけぴりりと辛い。鎌倉野菜としてレンバイ(鎌倉市農協連即売所)で売り出せば、イタリアンやフレンチのお店が買ってくれそうな予感。

ホソエガラシの根生葉 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの根生葉 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの典型的な葉の形状 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/10

ホソエガラシの典型的な葉の形状 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/10

茎は(ほぼ)無毛。毛が目立って多いようならホコバガラシ(鉾葉芥子)など他の近似の外来種である可能性。茎は直立し、よく分岐する。再分岐も。木質化するような硬い茎ではないので、強い風の影響を受けたのだろうか自重に負けるのだろうか、茎は完全なまっすぐでなく若干右へ左へよれよれっとなった痕跡が認められるものが多い。花期後半ともなると茎よりも花序軸(葉が付かず実だけがなる)の方が長くなり、丈の半分以上はひょろひょろっと伸びた花序軸に。

ホソエガラシの茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

地下にダイコン(大根)形の根茎(こんけい)がある。意外と簡単に引っこ抜けるので、根は地中深くまではびこらないのだろう。

ホソエガラシの根茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの根茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの根茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの根茎 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの花

ナノハナの仲間らしい明るい黄色の花序。上向きの実に隠れがち。小花は小さく花径4mm程度しかないので、あまりぱっと華やかに感じられるものでなし。

咲き始めた若いホソエガラシ 茅ヶ崎市今宿・新湘南バイパス側道 2020/02/27

咲き始めた若いホソエガラシ 茅ヶ崎市今宿・新湘南バイパス側道 2020/02/27

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの実

咲き終わった花は早々と順次実になる。ミチタネツケバナ(道種漬花)ほど真上を向くものではないものの同様に万歳するかのような上向きの姿に。上部の実は花序よりも高い位置に達する。実は細長い直線的な棒状で、長さ約5cm、これに1cm弱の柄(え)がある。果柄は(肉眼では気づかないかもしれないが)有毛。

ホソエガラシの若い実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの若い実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの若い実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの若い実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの果柄など 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

ホソエガラシの果柄など 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/04/11

実がおよそ熟したホソエガラシ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15

実がおよそ熟したホソエガラシ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15


茅ヶ崎市西久保~今宿・新湘南バイパス側道

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『日本帰化植物写真図鑑』 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編・著 全国農村教育協会発行(2001)

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