フユノハナワラビ

冬の花蕨 ハナヤスリ目/ハナヤスリ科/ハナワラビ属 見頃/11月~12月

自生種稀少保護

フユノハナワラビ 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビ 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

林床や草地(だったが冬なので雑草があまり茂っていない場所)に生える多年草。湘南・鎌倉・三浦半島では、ハナワラビの仲間としてはオオハナワラビ(大花蕨)に次いで多いらしい、が、実際のところ見かける機会はなかなかないのでは。オオハナワラビが日陰がちな場所に生えるのに対し、フユノハナワラビは明るい半日陰を好む。オオハナワラビよりも一回り小型。

フユノハナワラビの群生 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの群生 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの群生 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの群生 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

シダ植物なので、葉に見えるものは栄養葉(えいようよう)、花に見えるものは胞子葉(ほうしよう)という。※本頁では便宜的にそれぞれ葉・花と呼ぶ。

フユノハナワラビの葉(栄養葉)は、葉全体を漠然と眺めたときにオオハナワラビのような”鋭利な三角形”という印象を受けず、鋸歯は鋭からず、どこもかしこも丸みを帯びた柔らかな雰囲気を醸し出しているだろう。細部にこだわらず全体の雰囲気で判断した方が両者を区別しやすいか。

フユノハナワラビの葉 横浜市南区・こども植物園 2016/10/25

#フユノハナワラビの葉 横浜市南区・こども植物園 2016/10/25

フユノハナワラビの葉 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの葉 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの葉 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの葉 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

日の当たる場所に生えているものは冬に葉の表側のみほんのり赤く紅葉することがある。明確に赤っぽければアカフユノハナワラビ(赤冬の花蕨)かアカハナワラビ(赤花蕨)である可能性も。ただし両種はフユノハナワラビ以上の稀少種。

フユノハナワラビのすこしだけ赤みを帯びた葉 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2018/11/10

#フユノハナワラビのすこしだけ赤みを帯びた葉 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2018/11/10

フユノハナワラビの花(胞子葉)

シダ植物なので花を咲かせて花粉や種子を作るのではなく、胞子を飛散させることで増殖する。オオハナワラビのように春まで直立していることはなく、胞子の飛散が完了すれば枯れて倒れるのがふつう。

フユノハナワラビの胞子飛散前 横浜市南区・こども植物園 2016/10/25

#フユノハナワラビの胞子飛散前 横浜市南区・こども植物園 2016/10/25

フユノハナワラビの胞子飛散終わりかけ 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

フユノハナワラビの胞子飛散終わりかけ 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29


東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター(秋に植え付けているものなので状態不良)、横浜市南区・#こども植物園、横浜市戸塚区・#舞岡公園(古民家裏)

小網代の森、森戸川源流

大楠山(なし

大楠山のフユノハナワラビ


田中澄江『花の百名山』(文藝春秋、1980)にて横須賀市の大楠山(おおぐすやま)がフユノハナワラビ咲く山として紹介されたことから一躍有名に。

ただし、現在の大楠山で見られるのはオオハナワラビばかりで、フユノハナワラビの目撃情報はとんと聞こえてこない。『神奈川県植物誌2018』によればかつては自生があったようだが、今はほぼないものと考えてよさそうである。個人ブログ等で紹介されている”大楠山のフユノハナワラビ”の写真は、ざっと確認した限りいずれもオオハナワラビであった。ただし一点のみフユノハナワラビの可能性を疑わせるものがあったため、「大楠山にフユノハナワラビはない」とは言い切れないところ。できるだけ早いうちに実見に訪れたい。
フユノハナワラビが滅した理由はハイカーによる盗掘等が考えられるが、分布していた頃の状況を知らないので何ともいえない。

厚木市・#荻野運動公園野草園、秦野市・葛葉緑地(「けやきの道」中間の開けた林床に群生、オオハナワラビとアカフユノハナワラビ僅少も)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『神奈川県植物誌2001』 神奈川県植物誌調査会編集 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(2001)

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