毛氈苔 ナデシコ目/モウセンゴケ科/モウセンゴケ属 花期/7月下旬~8月上旬
学名/Drosera rotundifolia L.
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IB類」
#モウセンゴケ 箱根湿生花園 2024/07/02
寒冷な地域や山地の日当たりの良い高層湿原(水面より高い位置までこんもり盛り上がってミズゴケ(水苔)に覆われた湿地)に生える多年草。毛氈(もうせん)とは動物の毛で織られたフェルト状の敷物をいう。本種が群生していると確かにけばけばした赤絨毯のようなものに見えないでもない。名前に反してコケの仲間ではなく、姿が珍妙なだけで、花を咲かせてタネも作るふつうの種子植物の一つ。食虫植物としてハエトリグサ(蠅取草)と並んで子供にも知名度が高い。神奈川県内では箱根の仙石原湿原(立入禁止)にだけ自生あり。箱根湿生花園に昔植栽されたものが今もごくわずかに残っている。同園内には同じく食虫植物で同じく神奈川県在来種のムラサキミミカキグサ(紫耳掻草)もある。
#モウセンゴケの在り処(白色実線矢印) 箱根湿生花園・⑥高層湿原区 2024/07/29
#モウセンゴケの在り処(白色矢印) 箱根湿生花園 2024/06/08
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開花中(白色矢印)だが遠すぎて花はほぼ見えない#モウセンゴケ 箱根湿生花園 2024/07/29
しゃもじ形の葉の周囲にたくさんの赤い毛が生えており、その先端から粘液を出す。小さな虫がべたべたした粘液に捕まってしまうと溶かされて養分として吸収されてしまう。
#モウセンゴケ 箱根湿生花園 2024/06/08
#モウセンゴケ 箱根湿生花園 2024/06/19
一般にモウセンゴケといったらモウセンゴケ属に分類される植物の総称として使われていることが多いので要注意。ホームセンター等でモウセンゴケの名で売られているポット苗はほぼ間違いなく本種ではない。
モウセンゴケの花
花茎(かけい)をひょろひょろっと直立させて、その上部で白梅のようなかわいらしい花を咲かせる。花茎基部側から一個ずつ咲いて行き、茎頂上部で開花する。茎先端でくるりんと丸まっているのは開花待ちしている蕾。真っ直ぐ直立した状態になったら全部咲き終わった合図。花径1cm程度。開花は午前中のみで、午後には閉じる。
#モウセンゴケの花 箱根湿生花園 2024/07/23
花が咲く真夏になると暑さに負けてか、全体的な姿は荒れてくる。
#箱根湿生花園(⑥高層湿原区の池に突き出た「ヤチヤナギ」の樹名板が立つ岩に生えているオオミスゴケの際に=木道から遠いので葉も花も肉眼では見えない・写真撮影には要超望遠レンズ、かつては仙石原湿原植生復元区にもあった=タネを蒔いたり定着を試みたことはあるので復活して生え出る可能性はあるかも、暑さに弱いため毎年夏休み期間中に開催される企画展「世界の食虫植物展」(外来種と園芸種がほとんど)に出展なし、園内にムラサキミミカキグサあり、かつて仙石原にあったイシモチソウは県内絶滅・園内になし)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)