蒙古蒲 イネ目/ガマ科/ガマ属 花期/5月中旬~6月中旬 結実期/8月下旬~11月
学名/Typha laxmannii Lepech.
外来種稀少
#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
ヨーロッパから中国(China)の一帯を原産とする多年草(宿根草)。名は、蒙古つまりモンゴルの方から日本へ伝わったガマの仲間の意。日本国内では北海道の他、東北地方の一部にあるものが自生とか移入とかどうとか。他のガマの仲間同様、浅い水辺に生える抽水植物または湿生植物である。日本国内では園芸栽培されることがある。ときに自然界に逸出もする。水鳥が種子を自生地から運搬した可能性も捨てきれないため、野生のものか栽培品由来かの判断は難しいものがある。外国から渡来した園芸植物というと”大きくてど派手”なものとおよそ相場が決まっているが、本種に限っては逆で、在来種のガマ・ヒメガマ(姫蒲)・コガマ(小蒲)より、明らかに”細くて小型”である。雄花序と雌花序の間が空くので、形態はヒメガマに似る。従って、ヒメガマの貧弱個体と混同する虞(おそれ)がある。湘南・鎌倉・三浦半島では栽培されているものも逸出帰化したものも見かけた例(ためし)なし。ホームセンターの園芸コーナー等で売られているのも見かけない。
#モウコガマの咲き始め 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/22
#モウコガマの咲き始め 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/22
#開花中のモウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
開花中の#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
開花中の#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
開花中の#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
開花中の#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
開花中の#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/30
#モウコガマの若い果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/06
#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
実が完熟して茎葉も刈れた#モウコガマ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
草丈は高さ1m程度。茎の太さは、株元で7mm程度、穂の近くで2mm程度。葉は細いのがモウコガマの大きな特徴の一つで、幅3~4mm程度しかない。小型なコガマでも幅5mm以上あるので、異様に細っこいと感じるはずである。葉の断面は(ヒメガマ同様に)三日月形で、折れにくくなっている。
#モウコガマの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
モウコガマの花
花期は早い。遅れてガマとヒメガマが開花し、更に遅れてコガマが咲く。ヒメガマと同様に、雄花序と雌花序の間が空くのもモウコガマの大きな特徴。
#モウコガマの雄花と雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの雄花と雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの雄花と雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
最上部にあるのが雄花序。縦(長さ)10~15cm程度、横(太さ)5~6mm程度。はじめ緑色で、花時に黄色の花粉が目立つようになり、茶色っぽく変わって咲き終わり、傷む。
#モウコガマの雄花の蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの開花中の雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの開花中の雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
雄花序から3~4cm程度の間隔を空けて(緑色の茎が露出して)、その下方に(ガマの穂になる)雌花序が咲く。縦(長さ)3~4.5cm程度、横(太さ)5~8mm程度。緑色で、光を反射して白っぽく見える蕊が出る。出現したての蕾の状態からそのすぐ後の開花中の時点で、雌花序が緑色であればモウコガマ、褐色(茶色)であればヒメガマ、である。モウコガマの穂ははじめ緑色で、花が咲き終わると茶色に変わる。ヒメガマの穂ははじめから一貫して茶色である。従って、雄花序と雌花序の間が空いて、若い雌花序が緑色をしていて、葉が細くて幅4mm以下しかない、の三点を満たしていればモウコガマである。『神奈川県植物誌2018』に小苞片の有無がどうたらという(標本や文字資料しか見たことがないのだろう学者先生が捻り出したと思われる)難解な記載があるが、一般の人にそのような微細なものを確認できるわけはないので相手にする必要はない。
#モウコガマの苞から姿を露出させた雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの苞から姿を露出させた雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
#モウコガマの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/22
#モウコガマの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/22
ヒメガマと#モウコガマの比較 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/12
モウコガマの実
茶色いガマの穂ができる。穂はおよそ、縦(長さ)4cm、横(幅、太さ)1.5cm。縦の長さがやけに短いので、穂の印象は丸っこいとかずんぐりした形に思えるだろう。
#モウコガマの若い果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/06
#モウコガマの若い果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/06
#モウコガマの果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
#モウコガマの果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
#モウコガマの果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
#モウコガマの果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
#モウコガマの穂の大きさ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/20
#モウコガマの熟してほぐれ始めた果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
#モウコガマの熟してほぐれ始めた果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/21
#モウコガマの完熟した果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
茎葉も枯れた11月に完熟した果穂は総じて、夏のそれより横幅が少し太く、縦の長さは短くなっていた。
#モウコガマの完熟した果穂 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
#モウコガマの完熟した果穂を揉みほぐしたもの 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
#モウコガマの揉みほぐした果穂のその後 茅ヶ崎市浜之郷 2024/11/30
モウコガマであれば果穂に小苞片がない。ヒメガマであれば小苞片がある。花を見ていない場合は、小苞片の有無で見分けることで決定的な判断はできようが、現実的にできる話ではない。
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)