柏、槲 ブナ目/ブナ科/コナラ属 花期/4月 結実期/9月~10月
学名/Quercus dentata Thunb.
自生種稀少
#カシワの(花粉放出前の)雄花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
神奈川県内では丘陵地から山地に生える落葉高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。端午の節句(5月5日)の柏餅(かしわもち)をくるんでいる、あのおもしろい形状のごわごわした硬い葉っぱがカシワの葉である。なお桜餅をくるんでいる葉っぱ(主に伊豆半島で生産されているオオシマザクラ(大島桜)の塩漬けにされた葉が使われている)は食べられる(元来は香り付けなので食べなくても構わない)が、カシワの葉はばりっばりに硬くて繊維を噛み砕けないので食べてはいけない。女の子が産まれるとキリ(桐)の木が植えられる習慣が昔はあったが、もしかして男の子だったらカシワだったりしたのだろうか、湘南・鎌倉・三浦半島では旧家の庭に一本植えられているものをまま見かける。但し樹高が10mを超える結構な高木になることから結局は強剪定を食らい、目も当てられない樹形を晒していることがほとんど。公園などに植えられていることもなく、知名度は抜群に高い樹木でありながら人目に触れる機会は意外とかなり少なく、観察する難易度は高い。三浦丘陵などの野山にもごく希にあるようながら、自生なのか栽培ものの実生(みしょう)なのかは不明。
開花中の#カシワ 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
葉は柏餅の葉の形状をしっかり覚えておかないと近似の他種と混同するおそれあり。葉先や鋸歯は丸みを帯びていて尖らない。近似のナラガシワ(楢柏)と形状が紛らわしく、またナラガシワやコナラ(小楢)あるいはミズナラ(水楢)といった近似種と交雑しやすい特性があるため、カシワっぽいけどちょっと形が違うような気がする、という葉に出くわすことの方が(生粋のカシワに出遭う頻度よりも)多い。
#カシワの開花時期の若葉 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
#カシワの葉 コンフォール茅ヶ崎浜見平 2021/10/21
冬に入って枯れた葉は、ヤマコウバシ(山香ばし)のごとく、若葉が芽吹き始める翌春まで落ちずに樹上に残る。枯凋性(こちょうせい)という。
冬枯れの#カシワ 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
冬枯れの#カシワ 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
幹(樹皮)は縦にごつごつと割れる。
#カシワの幹(樹皮) 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
カシワの花
ソメイヨシノ(染井吉野)が咲き終わる頃に、葉の展開とほぼ同時に咲く。細い房状に垂れ下がるのが雄花。雌花は新梢(しんしょう)の先っぽにあるもしゃもしゃのすぐ周辺に目立たずあり、よおく見れば三本の花柱が確認できる。
#カシワの雄花と雌花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
#カシワの(花粉放出前の)雄花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
#カシワの(花粉を放出し始めた)雄花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
#カシワの雌花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
#カシワの雌花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
#カシワの雌花 茅ヶ崎市・コンフォール茅ヶ崎浜見平 2022/04/08
横浜市金沢区・#金沢自然公園
#コンフォール茅ヶ崎浜見平(14番地一帯に多い、14-2号棟南側に良木、14-3号棟南側にのみ樹名板、すす病に罹りがち)
寒川町・#水道記念館(東屋の水路より東側に1本、樹形やや不良)
秦野市・#葛葉緑地(どんぐり山)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)