シュロ

棕櫚、棕梠　ヤシ目／ヤシ科／シュロ属　花期／4月下旬～5月上旬　結実期／10月下旬～3月
学名／Trachycarpus fortunei (Hook.) H.Wendl.

外来種駆除

九州北部以北の森林内などのシュロ類＝生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」

シュロの葉　寒川町・旧目久尻川ふるさと緑道　2021/04/27

園芸栽培される、中国や日本国内では九州南部を原産とする常緑の高木で、雌雄異株（しゆういしゅ）。露地栽培されている古典的な観葉植物。ワジュロ（和棕櫚）とも。ヤシ（椰子）の仲間で、ぱっと見は確かにヤシの木っぽい姿をしている。樹高は5mを優に超えてだいぶ背高な木になる。神奈川県内では、旧家の庭、公園、マンションや施設の敷地など、様々な場所に植栽されており、見かける頻度は高かろう。また鳥が種子の散布に一役買っているようで、野山への逸出帰化が著しい。耐陰性が高く薄暗い林床でも発芽生育できるので、自然豊かな丘陵地の林の中でもふつうに見かける有様となっている。身近な社叢（しゃそう）でもよく見かけるせいか自生種と勘違いされているようで、積極的に駆除されているのを見た例（ためし）なし。

#シュロ　横須賀市佐島・天神島・天満宮　2022/09/16

シュロ　寒川町・旧目久尻川ふるさと緑道　2021/04/27

林縁に生えた（若い実を付けた）シュロ　鎌倉市浄明寺・宅間谷　2023/05/12

シュロ　茅ヶ崎市萩園・十二天神社　2020/05/08

葉は幹の頂上で叢生（そうせい）。掌状（しょうじょう）に深裂する。裂片は強度が弱いせいで途中で折れ曲がって垂れる傾向あり。

#シュロの葉　横須賀市佐島・天神島・天満宮　2022/09/16

シュロの葉　茅ヶ崎市萩園・十二天神社　2020/05/08

シュロならではの折れ曲がった葉　横浜市栄区野七里／上郷町・栄プール登り口　2023/04/25

シュロの葉　寒川町・田端スポーツ公園　2022/06/19

シュロの葉　茅ヶ崎市萩園・十二天神社　2020/05/08

シュロの細くて長く、棘（とげ）がない葉柄　寒川町・田端スポーツ公園　2018/04/28

幹は一本直立で、枝を出さない。シュロ皮やシュロ毛と呼ばれる繊維で覆われており、幹全体が毛むくじゃらに見える。シュロ皮は、学術的には葉鞘（ようしょう）の残骸らしい。硬くて腐らない繊維なので、シュロ縄などに加工され使われてきた。

シュロの幹を覆う毛　茅ヶ崎市萩園・十二天神社　2020/05/08

シュロの幹を覆う毛　寒川町・田端スポーツ公園　2018/04/28

林内で発見したラン（蘭）と思しき正体不明の葉は、発芽したてのシュロの可能性大。周囲を見回せば天狗の団扇（うちわ）形の植物が生えていよう。

林床で発芽したシュロ　二宮町・吾妻山公園　2021/01/21

林床に帰化したシュロ　二宮町・吾妻山公園　2021/01/21

葉がやや小振りで折れ曲がらないトウジュロ（唐棕櫚）なる別種または品種あり。チャボトウジュロ（矮鶏唐棕櫚）はヨーロッパ原産で、数本の幹が束生（そくせい）する。幹にシュロ皮がなく、葉柄（ようへい）に棘（とげ）状の突起が多くあればワシントンヤシ（わしんとん椰子）ないしワシントンヤシモドキ（わしんとん椰子擬）、真鶴半島であればビロウ（檳榔）。シュロチク（棕櫚竹）は葉の形状がシュロに似ているだけでまったくの別種で、鉢植えのものが観葉植物として栽培されている。