レモンエゴマ

檸檬荏胡麻　シソ目／シソ科／シソ属　花期／9月中旬～10月 ⇒（令和5年（2023）地球温暖化以降）9月末～10月中旬　結実期／10月下旬～11月
学名／Perilla frutescens var. hirtella (Nakai) Makino

自生種稀少保護

#レモンエゴマの咲き始めの花　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/09/27

主に山地の林内を通る山道（ハイキングコース）沿いなどに生える一年草。植物学者の牧野富太郎博士が高尾山（東京都八王子市）で発見し命名した。従って、名前には英語のレモン（Lemon）が冠されているも、れっきとした日本の在来種である。学術的には、東南アジア原産といわれる農作物エゴマや中国（China）原産とかいうシソ（紫蘇）と変種の関係にあるもの、或いは近似の別種、に位置付けられている。外観は特にエゴマにそっくりであるが、葉などに爽やかな強いレモンの香りがあるのが特徴。但し、エゴマやシソと容易に交雑すると思われ、特に栽培ものが里山周辺で野生化しているエゴマの中にはレモンエゴマの性質を有する（レモン臭がする、茎の長毛が少ない）ものが存在し、見分けがやや難しい。※本頁では極力典型的なレモンエゴマのみを掲載し、エゴマないしシソの特徴を合わせ持つ雑種と思しきものの掲載は（特別な理由がない限り）排除する。神奈川県内では主に丹沢や箱根に分布。湘南・鎌倉・三浦半島でも丘陵地の林内にないでもないが、かなり希。エゴマがよく水を飲む植物なのでおそらく本種も同様で、水切れにはかなり弱いと思われる。従って、あるとしたら、日当たりがあまり良くない薄暗い林内の乾燥しないやや湿った場所に生えているはず。

蕾を付けた#レモンエゴマ　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/09/27

花が咲き終わった#レモンエゴマ　東京都三鷹市／小金井市／調布市・野川公園　2025/10/21

花が咲き終わった#レモンエゴマ（右側）　東京都三鷹市／小金井市／調布市・野川公園　2025/10/21

花が咲き終わった#レモンエゴマ　東京都三鷹市／小金井市／調布市・野川公園　2025/10/21

花が咲き終わった生育不良な#レモンエゴマ　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/10/21

花が咲き終わった#レモンエゴマ　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/10/21

レモンエゴマとエゴマとシソの見分け方
	レモンエゴマ	エゴマ	シソ
出自	在来の野草	外来の農作物	外来の農作物
芳香	強いレモン臭	やや不快臭	お馴染みのシソ臭
苞の色	白色	緑色
苞の形状	かなり幅広でほぼ扁平	やや細めで左右が下に反りがち
茎の毛	カールする短毛がビロード状に密生	長めの毛が生える

葉の様子が見慣れた市販のシソと一致してお馴染みのシソ臭があるものは、シソ。レモンエゴマとエゴマは、苞の形状、苞の色、茎の毛、で見分ける。前述の通り、レモン臭を判断基準に加えるとむしろ混乱に陥るので注意。

#レモンエゴマと#エゴマの違い

葉は対生。葉身の基部付近には鋸歯（きょし）がないこと。葉身基部までしっかり鋸歯があったら近似の希少種トラノオジソ（虎の尾紫蘇）である。葉などに触れると強いレモン臭がする。但し前述の通りレモンエゴマと交雑したと思われるエゴマにレモン臭がするものがあるため、レモン臭がすることだけをもってレモンエゴマと決めてかかってはいけない。エゴマは元は油を採るなどの目的で栽培されてきた農作物で、その名残りといえるものが少なからず野生化しているため、里山地域（人に身近な野山）でレモン臭がするものあらばそれはエゴマ（を基本とした交雑種）である可能性の方がじつは高い。

#レモンエゴマの葉　東京都三鷹市／小金井市／調布市・野川公園　2025/10/21

#レモンエゴマの葉裏　東京都三鷹市／小金井市／調布市・野川公園　2025/10/21

茎には、カールする短毛のみが密生する。エゴマの茎にはやや長い毛が生える。

#レモンエゴマの茎　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/10/21

#レモンエゴマの下部の茎　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/10/21

レモンエゴマの花

エゴマやシソと同様に穂のような総状花序（そうじょう－）を付ける。淡紅紫色（薄ピンク色）。小花は短命で一気に咲き進む。

#レモンエゴマの咲き始めの花　東京都小平市・東京都薬用植物園　2025/09/27

一個一個の小花の直下にそれぞれ一枚の小さな苞が付属する。レモンエゴマの苞はやたら幅広で、色が明らかな白色（初秋以降にうっすら紫色を帯びることはある）。ほぼ扁平で、風呂の湯を両手のひらですくい上げるときのような形状をしている。蕾のときから咲き終わりの時期まで一貫してその色と形状を維持する。但し苞は開花途中で傷んで脱落しがちではある。エゴマの苞は、レモンエゴマほど幅広でなく、およそ緑色で（ときに、咲き始めはやや白っぽく見えなくもないが咲き進むにつれおおよそ緑色になり）、苞の左右の張り出し部分は（必ずではないが）下方に強く反る傾向が見られる。