岩大戟 キントラノオ目/トウダイグサ科/トウダイグサ属 花期/3月末~5月
学名/Euphorbia jolkinii Boiss.
有毒自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IA類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキの大株 真鶴半島 2025/05/01
海に面した岩場に生える多年草。波しぶきがかからない磯の付け根の岩の上などで、テリハノイバラ(照葉野茨)やハマボッス(浜払子)あたりとご近所付き合いしている。トウダイグサ(燈台草)の仲間で、ノウルシ(野漆)の海岸型といった感じの植物。名は、近似種のタカトウダイ(高燈台)の根が生薬(漢方薬)の大戟(たいげき)と呼ばれることから、岩場に生えるタカトウダイの仲間、の意。イワタカトウダイとは呼称しない。静岡県の伊豆半島には少なくないと思われるが、神奈川県内では昭和43年(1968)に三浦市・毘沙門で採取された標本を最後に県内絶滅、といった状態が長らく続いていたものの、平成12年(2000)に真鶴半島のごく一部に自生しているものが再発見された。ニ十株以上はあるか。磯がある海辺、例えば、江の島だとか、荒崎や城ヶ島あたりに生えていたとてぜんぜん不思議ではないものなのだが、なぜかない。千葉県の房総半島や神奈川県が北限に当たる地域なせいかもしれない。石川県の能登半島にも生えているらしいが、特異。
イワタイゲキが生える岩石海岸 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えたイワタイゲキ(白色矢印) 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ(白色矢印) 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に点々と生えた開花中のイワタイゲキ(黄色っぽいもの) 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキの大株 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
開花中のイワタイゲキの大株のサイズ感 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えたイワタイゲキ 静岡県伊東市・城ヶ崎海岸 2024/12/02
岩石海岸に生えたイワタイゲキ 静岡県伊東市・城ヶ崎海岸 2024/12/02
分岐しない一本の茎を叢生(そうせい、株立ち)させて、直立、または斜上する。茎は赤褐色(せきかっしょく)を帯びる傾向が見られるが、そうでないものも。株の大きさは個体差が激しく、日当たり良く強烈な海風に晒される場所に生えているもので高さ20~40cm程度。岩陰に生えたものではぜんぜん背高に60cmとか70cmにもなる。茎や葉が生え変わるのは冬ではなくて夏とのこと。
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキの大株 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸に生えた開花中のイワタイゲキの大株 真鶴半島 2025/05/01
岩石海岸の日陰に生えた背高な開花中のイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
真上から見たイワタイゲキの未開花株 真鶴半島 2025/05/01
海辺に生える紛らわしい近似種にハマタカトウダイ(浜高燈台)があり、SNSやブログ等で”三浦半島で見かけたイワタイゲキ”などとして紹介されているものは正しくはハマタカトウダイである。葉や苞(ほう、花の直下に付く葉)の縁(ふち)の鋸歯(きょし)の有無を確認すれば、両者は確実に見分けられる。イワタイゲキは鋸歯ない全縁(ぜんえん)、ハマタカトウダイには肉眼では視認しがたいほど細かなものではあるが多数の鋸歯がある。
イワタイゲキとハマタカトウダイの見分け方 | ||
イワタイゲキ | ハマタカトウダイ | |
生えている場所 | 磯 | 風衝草地 |
葉の鋸歯 | なし(全縁) | 細かいものが多数あり |
花期 | 晩春から初夏 | 梅雨 |
苞の鋸歯 | なし(全縁) | 細かいものが多数あり |
イワタイゲキの葉 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの葉 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの葉 静岡県伊東市・城ヶ崎海岸 2024/12/02
紅葉した冬の#イワタイゲキ 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2019/02/24
紅葉した冬の#イワタイゲキ 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2019/02/24
イワタイゲキの(赤褐色を帯びた)茎と葉 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの(強く褐色を帯びた)茎と葉 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの(赤みを帯びていない)茎と葉 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの花
花期はおおよそナツトウダイ(夏燈台)に同じ。開花中なら苞も含めた茎頂部全体が強く黄色っぽく染まるので、遠目にも鮮やかで発見しやすかろう。トウダイグサ科ならではの杯状花序(はいじょうかじょ)。
イワタイゲキの花 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの花 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの花 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの実
表面はいぼいぼ。
実が出来てきたイワタイゲキ 真鶴半島 2025/05/01
イワタイゲキの若い実 真鶴半島 2025/05/01
東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター(伊豆諸島ゾーンFエリア、4月中旬)
真鶴半島、静岡県伊東市・城ヶ崎海岸(いがいが根などに多い)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)