小臭木 ムクロジ目/ミカン科/コクサギ属 花期/3月中旬~4月中旬 結実期/12月~1月中旬 黄葉/12月中旬~下旬
学名/Orixa japonica Thunb.
有毒自生種
コクサギの雌花 平塚市・高麗山公園 2018/03/31
直射日光の当たらない林縁に生える落葉低木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。名はくさい低木の意。クサギ(臭木)の小型種ではなくまったくの別種。指で葉を揉んでやるとニラ(韮)のようでもある独特の悪臭を含んだ強い青臭さを放つ。くさいなぁくさいなぁと思いながらしばらく山歩きを続けていると、じきに指先がまるでシナモンクッキーのような悪くない香りに変わっていることがあるからおもしろい。ハズレを引くといつまでもくさいまんまであるけれど。湘南・鎌倉・三浦半島では丘陵地の林内にたくさん自生する普通種。谷間の沢近くなどやや湿りがちなところに多い。
薄暗い園路沿いに生えたコクサギ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/04/25
コクサギの初夏の新緑 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12
コクサギの初夏の新緑 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12
コクサギの初夏の新緑 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12
春から初夏にかけての新緑は、つやつやてかてかとした照りが強く、陰鬱な林の中にあって最も美しい若葉といえる。葉はきれいだがくさいので、栽培はされない。
コクサギの芽吹き 葉山町・逗子市・森戸川源流 2018/03/18
コクサギの若葉 平塚市・高麗山公園 2018/03/31
コクサギの若葉 大磯町・高麗山公園 2016/04/02
葉の付き方がおもしろく、左右交互ではなく片方二枚ずつ左左右右左左右右と互生する(二対互生、コクサギ型葉序(ようじょ)という)。サルスベリ(百日紅)も同様の葉の付き方である。
コクサギのコクサギ型葉序 大磯町・高麗山公園 2016/04/02
コクサギのコクサギ型葉序 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/04/25
コクサギの花
(雄株の)雄花は総状花序、(雌株の)雌花はふつう単体で咲く。色が同化してしまって目立たないものの、よく見ればなかなかかわいらしい花である。
コクサギの雄花(咲き始め) 葉山町・逗子市・森戸川源流 2018/03/18
コクサギの雄花(咲き始め) 葉山町・逗子市・森戸川源流 2018/03/18
コクサギの雄花 大磯町・高麗山公園 2016/04/02
コクサギの雌花(茶色は去年の実の殻の残骸) 平塚市・高麗山公園 2018/03/31
コクサギの雌花(五つの小花が花序を構成) 平塚市・高麗山公園 2018/03/31
コクサギの実
実は手裏剣形。
コクサギの若い実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12
コクサギの若い実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12
コクサギの若い実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12
コクサギの実 大磯町・高麗山公園 2016/12/26
実が熟した上で乾燥すると皮が割れ、肌色の”発射台”が種子をぴんと弾いて遠くへ飛ばす。1mくらいは飛んでゆくだろうか。果皮は再び閉じて空っぽになった実が残る。
コクサギの実 大磯町・高麗山公園 2017/01/20
コクサギの種子を射出する直前の実 大磯町・高麗山公園 2017/01/19
コクサギの種子射出システム 大磯町・高麗山公園 2017/01/20
コクサギの黄葉
紅葉狩りシーズンはとっくに終わった霜も降りる頃、林の中を鮮やかに染めるコクサギは黄葉は見事である。
コクサギの黄葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/12/01
コクサギの黄葉 大磯町・高麗山公園 2017/12/14
コクサギの黄葉 大磯町・高麗山公園 2017/12/14
高麗山公園(ケヤキの広場、高来神社から八俵山への入口、他)
家屋周囲に、多数のオナガアゲハ♀が舞い始めた。
以前から出没しているジャコウアゲハと微妙に(腹部の様子が)異なるため Web 検索で「同定」した。
その食草が「コクサギ、カラスザンショウ、ミヤマシキミなどの野生種」なのだとか。
確かに、それらは周囲での普通種です。
(定年退職での在宅生活によって)
当地の「豊かなビオトープ」を思い知らされています。
このような貴重な環境を大切にしたく、自治会とも共有しました。