イヌツゲ

犬黄楊 モチノキ目/モチノキ科/モチノキ属 花期/5月下旬~6月中旬 結実期/10月~12月
学名(イヌツゲ)/Ilex crenata Thunb. var. crenata
 〃 (オオバイヌツゲ)/Ilex crenata Thunb. var. latifolia Goldring

自生種改良種

イヌツゲの葉 箱根町・温泉荘 2017/10/27 

#イヌツゲの葉 箱根町・温泉荘 2017/10/27 

山地に生える常緑の小高木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。優れた木材として有名なツゲ科のツゲ(ホンツゲ)に葉がなんとなく似ているが、質が悪くて役に立たないものの意でイヌが冠される。とはいえ、強い刈込みにも耐えうるため生垣に多用されてきたのはイヌツゲの方。従って日常的に目にする機会が多いのもイヌツゲなため、単にツゲといった場合もイヌツゲを指していることがほとんど。昭和時代(-1989)に多く利用されてきたため、ちょっと古臭い、ちょっとオジサン臭いイメージがないでもないか。和風庭園においてはマツ(松)と並んで欠かせない存在。ふつうは人の腰から背丈くらいの樹高に抑えて栽培されている。剪定せずに二十年以上放ったらかしていると樹高5mくらいになることも。神奈川県内、湘南・鎌倉・三浦半島にも林内に自生あり。虫食いやらクモ(蜘蛛)の巣やらで見苦しいもの多く、ハイキングコース近辺にあってもあまり目が向くものではないが。なお栽培逸出と見分けも区別もできない。

イヌツゲの新緑 茅ヶ崎市萩園・八幡神社 2018/05/05

#イヌツゲの新緑 茅ヶ崎市萩園・八幡神社 2018/05/05

イヌツゲの葉は、互生で、鋸歯がある。ホンツゲの葉は対生で鋸歯はない。という説明書きをよく目にすると思うが、その通りではあるのだが、それ以前にイヌツゲとホンツゲの葉はこれっぽっちも似ていないので誤認することはない。

イヌツゲの葉 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/01/16

#イヌツゲの葉 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/01/16

若葉が黄色っぽくてきれいな園芸品種をキンメツゲ(金芽黄楊)ともいう。葉の縁がすこしカールして丸っこい印象を与える変種をマメイヌツゲ(豆犬黄楊)ないし単にマメツゲという。これらも生垣や植え込みに多様されており、ホームセンターの園芸コーナーなどで市販されている。※本項では、園芸品種も含めてイヌツゲとして扱う。

キンメツゲの黄色い若葉 鎌倉中央公園生垣見本園 2019/02/07

#キンメツゲの黄色い若葉 鎌倉中央公園生垣見本園 2019/02/07

普段あまり見る機会のない自生種もまた変異が多いらしい。葉が大きく先端はふつうやや丸みがある変種をオオバイヌツゲ(大葉犬黄楊)、あるいはマルバイヌツゲ(丸葉犬黄楊)、ヒロハイヌツゲ(広葉犬黄楊)という。

オオバイヌツゲ 東京都文京区・小石川植物園 2020/01/21

#オオバイヌツゲ 東京都文京区・小石川植物園 2020/01/21

オオバイヌツゲに近い葉(先端はやや尖り気味) 逗子市・長柄桜山古墳群 2019/01/24

オオバイヌツゲに近い葉(先端はやや尖り気味) 逗子市・長柄桜山古墳群 2019/01/24

細長葉のイヌツゲ 逗子市・長柄桜山古墳群 2019/01/24

細長葉のイヌツゲ 逗子市・長柄桜山古墳群 2019/01/24

イヌツゲは動物などを模して刈り込まれることがある。こうしたオブジェ的な造形物をトピアリー(Topiary)という。

イヌツゲ(左右はラカンマキ)の生垣を刈った、ウサギのトピアリー 鎌倉市・円覚寺白雲庵 2019/06/06

#イヌツゲ(左右はラカンマキ)の生垣を刈った、ウサギのトピアリー 鎌倉市・円覚寺白雲庵 2019/06/06

イヌツゲの花

花数が多く、雌蕊の黄色っぽい葯(やく)が四個目立ってあれば(雄株の)雄花。

イヌツゲの雄花 横須賀市・YRP・光の丘水辺公園 2017/06/06

#イヌツゲの雄花 横須賀市・YRP・光の丘水辺公園 2017/06/06

イヌツゲの雄花 横須賀市・YRP・光の丘水辺公園 2017/06/06

#イヌツゲの雄花 横須賀市・YRP・光の丘水辺公園 2017/06/06

花数が少なめで、雄蕊が存在感なく、黄緑色の子房がよく目立っていれば(雌株の)雌花。

イヌツゲの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/30

#イヌツゲの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/30

イヌツゲの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/30

#イヌツゲの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/30

イヌツゲの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/30

#イヌツゲの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/30

イヌツゲの実

若い実は緑色で、紫色に色付き、黒っぽく熟す。

イヌツゲの実 箱根町・温泉荘 2017/10/27 

#イヌツゲの実 箱根町・温泉荘 2017/10/27 

イヌツゲの実 箱根町・温泉荘 2017/10/27 

#イヌツゲの実 箱根町・温泉荘 2017/10/27 

イヌツゲの虫こぶ

虫こぶまたは虫癭(ちゅうえい)とは、植物に小さな虫の幼虫などが寄生することによってできる不思議なこぶ状の膨らみのこと。


イヌツゲメタマフシ

イヌツゲの芽が膨れて瘤(こぶ)状になったもの。実のようなものができているがいびつな形で実にしては違和感を感じるこれは、イヌツゲタマバエの幼虫が寄生している状態。秋から冬にかけてよく目立つ。

イヌツゲメタマフシ 藤沢市・新林公園 2019/11/16

イヌツゲメタマフシ 藤沢市・新林公園 2019/11/16

『イヌツゲ』へのコメント

  1. 里山ライフ 投稿日:2020/08/09(日) 17:37:29 ID:375ff23cf 返信

    わが家の庭に、
    「サンショウ」同様
    https://mirusiru.jp/nature/flower/sanshou#comment-301
    「イヌツゲ」も大発生します。
    サンショウと違って「生長が遅く」放任していても大変なことにはならず、
    園芸(庭木)用途として人気種で「手入れも簡単」なため、困ることが無いのですが。

    その生長の遅さから、
    「同定」までには数年を要しました。
    ヒヨドリの興奮ぶりから、小さくて黒い「実」の存在に気付かされました。
    観察していたのですが、まったく気づかないほど目立たない「実」です。
    しかし、枝いっぱいに実がなり、クロスグリ(ブラックカラント:カシス)に似た実で美味しそうです。
    ヒヨドリが夢中でついばむため、たちまちに無くなりました。