オトメスミレ

乙女菫 キントラノオ目/スミレ科/スミレ属 花期/3月下旬~4月上旬
学名/Viola grypoceras A.Gray form. purpurellocalcarata (Makino) Hiyama ex F.Maek

自生種稀少保護

微妙な色のオトメスミレの花 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

微妙な色のオトメスミレの花 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

山地や丘陵地の林内の明るい日陰に生える(短命な)多年草。タチツボスミレ(立坪菫)の花色が違う品種である。花色は真っ白ないしほぼ白と言ってよい程度の極薄紫色(極薄ピンク色)で、距(きょ、花の後方にある出っ張り)の部分だけくっきりと(ときにピンクっぽい)紫色を残しているもの。花色がそこまで薄からず、逆に距の色がやや薄め、という、オトメスミレと呼んでしまってよいのかどうか判断に迷うものもある。花全体がくっきりとした白色であれば、シロバナタチツボスミレ(白花立坪菫)と呼ばれる別の品種である。名は、花色がかわいらしくて乙女のようだ、と思われてしまうことが多いのだがそうではなく、神奈川県箱根町仙石原と静岡県御殿場市の境に立ちはだかる乙女峠で発見されたことに因む。実際には両方に掛けられているとは思うけれども。その乙女峠は、関所があって通行人がお留め置かれたことに由来するとか、”とめ”という名の乙女がこの地で亡くなった伝説に因むとかどうとか。乙女峠周辺には少なくないが、そこの固有種というわけではなく、湘南・鎌倉・三浦半島でもかなり希ではあるが発見されることがある。

微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

微妙な色のオトメスミレの花の距 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

微妙な色のオトメスミレの花の距 大磯町・高麗山公園 2025/04/07

花後の微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/04/26

花後の微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/04/26

微妙な色のオトメスミレの葉 大磯町・高麗山公園 2025/04/26

微妙な色のオトメスミレの葉 大磯町・高麗山公園 2025/04/26

微妙な色のオトメスミレの茎と托葉 大磯町・高麗山公園 2025/04/26

微妙な色のオトメスミレの茎と托葉 大磯町・高麗山公園 2025/04/26

オトメスミレの花 南足柄市/箱根町・金時山 2025/05/05

オトメスミレの花 南足柄市/箱根町・金時山 2025/05/05

オトメスミレの花の距 南足柄市/箱根町・金時山 2025/05/05

オトメスミレの花の距 南足柄市/箱根町・金時山 2025/05/05

初夏の微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/05/24

初夏の微妙な色のオトメスミレ 大磯町・高麗山公園 2025/05/24

唇弁(しんべん)に紫色の条(すじ)が入るが、色が薄いこと。条がくっきりと濃い紫色で、距がやたら短かったら、シコクスミレ(四国菫)である疑い。シコクスミレは神奈川県内でも丹沢や箱根といった山地に自生がある。シロバナナガバノスミレサイシン(白花長葉の菫細辛)にも花は似ているが、これは名前の通り長葉である。マルバスミレ(丸葉菫)は無茎種(むけいしゅ)、オトメスミレを含めてタチツボスミレの類は有茎種である。


高麗山公園(令和6年(2024)微妙な色の1株発見)

箱根町・長尾峠~丸岳~乙女峠~金時山近辺(採取されてしまいだいぶ減ったらしい、4月末、金時山周辺は富士箱根伊豆国立公園特別保護地区でありすべての植物の採取損傷が禁止されている(自然公園法第21条第3項第7号)・罰則あり(自然公園法第82条))、箱根町・三国山(多いらしい)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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