梶苺 バラ目/バラ科/キイチゴ属 花期/3月下旬~4月中旬 結実期/5月中旬~6月上旬 紅葉/2月
学名/Rubus trifidus Thunb.
自生種稀少保護
カジイチゴ 茅ヶ崎市西久保 2018/03/29
林縁部などに生える落葉低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。キイチゴ(木苺)の一種で、(実ではなくて木が)最大のもの。モミジイチゴ(紅葉苺)を一回り二回り大きくしたような姿で、2m程度の背丈になる。見た感じ、ごつい。名は、葉の形状がカジノキ(梶の木)の葉に似ることから。
カジイチゴ 茅ヶ崎市西久保 2018/03/31
カジイチゴ 茅ヶ崎市西久保 2018/03/29
カジイチゴ 横須賀市・貝山緑地 2017/03/22
葉は三裂ないし五裂。大きく成長すると七裂にもなるらしい。全裂しない。全裂しない三裂葉は、念のためニガイチゴ(苦苺)でないことを確認のこと。
カジイチゴの葉 藤沢市・新林公園 2017/03/23
カジイチゴの葉 茅ヶ崎市西久保 2018/03/31
キイチゴなのに棘(とげ)がないのが最大の特徴。
カジイチゴの茎 横須賀市・貝山緑地 2017/03/22
同じく春に花咲くキイチゴは、小型で地面すれすれに咲くことが多いクサイチゴ(草苺)、中型のモミジイチゴ(紅葉苺)がある。
カジイチゴの花
花は白色。花弁はよく縮れ、上向きに咲く。花だけを見るとクサイチゴと紛らわしいが、カジイチゴは花弁が豊かに広がり間隔が開かない、クサイチゴは花弁と花弁の間にすっかすかの隙間ができる違いあり。
カジイチゴ 茅ヶ崎市西久保 2018/03/29
カジイチゴ 茅ヶ崎市西久保 2018/03/31
カジイチゴ 藤沢市・新林公園 2017/03/23
花弁は傷みやすいのか茶色く変色しかけていることが多い。
カジイチゴ 横須賀市・貝山緑地 2017/03/22
花が下向きに垂れるカジイチゴ(モミジイチゴとの雑種か) 逗子市・大崎公園 2017/03/28
キイチゴの仲間はよく雑種をつくる。
カジイチゴとモミジイチゴの雑種とみられるものにトゲナシイチゴ(刺無苺)あり。交雑の程度によりヤブアワイチゴ(藪淡苺)やらエノシマアワイチゴ(江ノ島藪淡苺)、マナヅルキイチゴ(真鶴木苺)といった名前が付けられていることもあるようだが、学者や研究者が趣味で没頭すればよい領域であると判断し本項では触れない。
カジイチゴとニガイチゴの雑種と思しきものはヒメカジイチゴ(姫梶苺)という。三浦半島の沿岸地域にあるらしい。
カジイチゴの実
緑色からオレンジ色に熟したものはそのまま生で食べられる。物凄く甘い現代の市販の果物に比べたら味は薄くて物足りないかもしれないが、ほのかに甘く、苦い臭い等の雑味なし。果汁は豊か。野良で採れる果実としては味は悪くない。種子のしっかりしたぷちぷち感あり。
カジイチゴの実 茅ヶ崎市西久保 2018/05/24
カジイチゴの実 茅ヶ崎市西久保 2018/05/24
カジイチゴの実 茅ヶ崎市西久保 2018/05/24
カジイチゴの実 鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区 2017/05/30
カジイチゴの実 鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区 2017/05/30
カジイチゴの実、食後に残った一粒(透けて見えるのは種子) 鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区 2017/05/30
カジイチゴの紅葉
#カジイチゴの紅葉 茅ヶ崎市・柳島しおさい公園 2020/08/22
#カジイチゴの紅葉 茅ヶ崎市・柳島しおさい公園 2019/02/23
#カジイチゴの紅葉 茅ヶ崎市・柳島しおさい公園 2019/02/23
横浜市金沢区・野島公園(多い)
横須賀市・貝山緑地、観音崎公園(多い)、逗子市・大崎公園(花は下向きに垂れる)、鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区、藤沢市・新林公園(山道)
藤沢市・川名清水谷戸(田んぼ脇、頭上崖に生えるため観察不向き)、#柳島しおさい公園(南西端に多数)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)