トミサトオトギリ

富里弟切 キントラノオ目/オトギリソウ科/オトギリソウ属 花期/7月?~9月? 結実期/8月下旬~10月?
学名/Hypericum mutilum L.

有毒危険外来種駆除稀少

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/20 10:21

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/20 10:21

湿地に好んで生える、北米原産の(一年草または短命な)多年草。帰化雑草として生え出ることがある。オトギリソウ(弟切草)の仲間ではあるが、か細くて小型なもの。草丈は高さ50cmくらいまでか。小株は高さ10cm超くらいで花を咲かせている。名は、本種の帰化が最初に千葉県富里市(当時は印旛郡(いんば-)富里町(-まち))で確認されたことに因む。茎は直立する、葉は花よりも格段に大きくて長さ2.5cm程度、全草に黒点なし、葉裏に透明点が多数あり、葉腋(ようえき)から茎に対して45°くらいの角度で細長い直線的な枝が伸びる、茎頂部または枝先で咲く花数が多い、花はコケオトギリ(苔弟切)やヒメオトギリ(姫弟切)と同様に小さくて直径は6mm未満、花色はレモン色に近い明るい黄色、といったあたりが主な特徴。神奈川県内では平成28年(2016)に箱根町二ノ平(にのたいら)で発見されたのが最初か。現在は箱根湿生花園にも多くはないが生えている。移入経路がもし令和時代(2019-)に急増した外国人観光客であるならば、湿地が多い鎌倉市あたりにも密かに生え出ている疑いがある。

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/18 12:25

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/18 12:25

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/20 10:32

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/20 10:32

トミサトオトギリの開花中のやや小型な株 箱根湿生花園 2026/08/20 10:37

トミサトオトギリの開花中のやや小型な株 箱根湿生花園 2026/08/20 10:37

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/20 11:23

開花中のトミサトオトギリ 箱根湿生花園 2026/08/20 11:23

葉腋から(上の方に向かって、ではなく)斜め45°くらいの角度で細長い枝が直線的に伸びる、という草姿が本種の最大の特徴かもしれない。

トミサトオトギリの大株の茎上部 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの大株の茎上部 箱根湿生花園 2026/08/20

葉は、対生(たいせい)で、葉柄(ようへい)なし。葉身(ようしん)は、長さ2.5cm程度以下、幅1.5cm程度以下。花(直径5mm)に比べて葉が格段に大きいので、コケオトギリやヒメオトギリではないなと気づけるだろう。全草に黒点なし。主に葉裏に、肉眼ではかなり視認しづらいものの透明点が多数あり。太陽光に逆光でかざして10倍ルーペで覗いてみれば(※失明に注意)、透ける点々であることがわかるだろう。写真に撮ると濃い緑色をした点々模様に写る。

トミサトオトギリの花と花より格段に大きい葉 箱根湿生花園 2026/08/20 11:23

トミサトオトギリの花と花より格段に大きい葉 箱根湿生花園 2026/08/20 11:23

トミサトオトギリの葉 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉(長さ2.5cm) 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉(長さ2.5cm) 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉裏にある透明点 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉裏にある透明点 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉裏にある透明点 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの葉裏にある透明点 箱根湿生花園 2026/08/20

オトギリソウの仲間にはヒペリシン(Hypericin)という成分が含まれており、光線過敏反応を引き起こすので注意する。汁気に触れた皮膚に太陽光が当たると、赤く爛(ただ)れて痒(かゆ)くなったり、火傷(やけど)をしたようにぐじゅぐじゅに溶ける、などの症状を引き起こす危険がある。

トミサトオトギリの花

オトギリソウの仲間にありがちな性質に共通して、本種の開花は午前中のみ。およそ九時半から十一時が見頃で、正午に近づくにつれて花弁先端がくるんとカールし始めて閉じてしまう。一日花と思われる。花径は約5mm。花色はレモン色に近い黄色。コケオトギリよりも明るい黄色である。

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/18 10:42

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/18 10:42

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/20 10:33

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/20 10:33

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/20 10:26

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/20 10:26

トミサトオトギリの花(花径5mm) 箱根湿生花園 2026/08/20 10:25

トミサトオトギリの花(花径5mm) 箱根湿生花園 2026/08/20 10:25

花数が多いのも本種の特徴。といっても順繰りに咲いてゆくので開花しているのは僅かな数で、一斉に満開はしない。

トミサトオトギリの閉じ始めた花 箱根湿生花園 2026/08/18 12:24

トミサトオトギリの閉じ始めた花 箱根湿生花園 2026/08/18 12:24

トミサトオトギリの閉じ始めた花 箱根湿生花園 2026/08/20 12:22

トミサトオトギリの閉じ始めた花 箱根湿生花園 2026/08/20 12:22

雄蕊の数はばらばらで、10本(植物学では10個と数える)を超えるものもふつうにある。

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/20 10:30

トミサトオトギリの花 箱根湿生花園 2026/08/20 10:30

萼片(がくへん)は不同長(長さがばらばら)といわれるが、そうとも言い切れないのではないか。

トミサトオトギリの実

先端の突起部(花柱の残骸)を含めなければ長さは4mm、含めれば5mm。

トミサトオトギリの未熟な実 箱根湿生花園 2026/08/18

トミサトオトギリの未熟な実 箱根湿生花園 2026/08/18

トミサトオトギリの未熟な実 箱根湿生花園 2026/08/20

トミサトオトギリの未熟な実 箱根湿生花園 2026/08/20


箱根湿生花園(仙石原湿原植生復元区、⑤高山のお花畑の名札「ヒダカミセバヤ」前)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『増補改訂 日本帰化植物写真図鑑 第2巻』 植村修二・勝山輝男・清水矩宏・水田光雄・森田弘彦・廣田伸七・池原直樹編著 全国農村教育協会発行(2015)

大場達之・木村陽子「トミサトオトギリ(新称)Hypericum mutilum L.の帰化」 『植物研究雑誌 第75巻 第5号』 津村研究所発行(2000)

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