サガミラン

相模蘭 クサスギカズラ目/ラン科/シュンラン属 花期/6月下旬~10月
学名/Cymbidium nipponicum (Franch. & Sav.) Rolfe

自生種稀少保護

環境省レッドリスト「準絶滅危惧(NT)」
神奈川県レッドリスト2020「準絶滅危惧」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧II類」

サガミランの花 大磯町 2026/07/07

サガミランの花 大磯町 2026/07/07

常緑広葉樹林に生える小型な多年草。野生のランの一種で、関東地方にのみ分布がある日本固有種。名は、神奈川県で発見されたことから、その旧国名である相模国(さがみのくに)が冠されたもの。ぱっと見はマヤラン(摩耶蘭)の白花品種のように感じられるもので、かつては本種はマヤランの品種だとか変種に位置付けられることもあったが、現在は遺伝子解析により近似の別種と認められている、らしい。らしい、というのは、そのような話を方々で見聞きはするものの、それを論じた一次資料を直接読んだことがないので本当のところはどうなのかは知らない、という意味である。サガミランという名前はマヤランの異名として用いられることがあったため、本種はマヤラン(サガミラン)とは別種であるという意味を明確にするためサガミランモドキ(相模蘭擬)と呼称されることもあったが、現在は本種をサガミランと呼ぶ(マヤランの別名としてサガミランを用いない)のが一般化しているようである。マヤランと比べて、同様の環境に生えるが僅かながらより暗い林床を好むかもしれない、生え出る時期がやや遅い、側花弁(そくかべん)が幅広い、花に赤い斑紋(はんもん)が入らない、花茎(かけい)に生える鞘状葉(しょうじょうよう)が赤みを帯びない、花茎などが強めに緑色を帯びる、などの違いがあるが、一般の人が見ても明確に相違があるとわかるのは花色だけなので花が咲いていないと見分けは難しい。マヤラン同様に養分は主に菌類から摂取している腐生植物(菌従属栄養植物)で、花後もシュンラン(春蘭)のような普通葉(ふつうよう)は生やさない。但し、緑色をした花茎や果実で多少の光合成は行っているのだとか。湘南・鎌倉・三浦半島にも自生するがマヤラン以上に希少。国および県のレッドリストでは共に格下げされているが、増えているのではなく、注目度が高い植物であるため植生調査が進んで自生地が多く認知されるに至っているだけではないか。マヤラン共々、令和5年(2023)の地球温暖化以降は数を減らしているように思えてならない。人に見つかると持ち去られてしまう盗掘被害が多発する。

(まともに開花することなく終わる)蕾を付け始めたサガミラン 大磯町 2026/06/17

(まともに開花することなく終わる)蕾を付け始めたサガミラン 大磯町 2026/06/17

(まともに開花することなく終わる)蕾を付け始めたサガミラン 大磯町 2026/06/17

(まともに開花することなく終わる)蕾を付け始めたサガミラン 大磯町 2026/06/17

(まともに開花することなく終わる)蕾を付け始めたサガミラン 大磯町 2026/06/17

(まともに開花することなく終わる)蕾を付け始めたサガミラン 大磯町 2026/06/17

(まともに開花することなく終わる)蕾を開きかけているサガミランの群落 大磯町 2026/07/07

(まともに開花することなく終わる)蕾を開きかけているサガミランの群落 大磯町 2026/07/07

開花中のサガミラン 大磯町 2026/07/07

開花中のサガミラン 大磯町 2026/07/07

蕾を付けたサガミラン 藤沢市 2019/07/09

蕾を付けたサガミラン 藤沢市 2019/07/09

蕾を付け始めたサガミラン 二宮町 2017/07/10

蕾を付け始めたサガミラン 二宮町 2017/07/10

開花中のサガミラン 藤沢市 2019/07/13

開花中のサガミラン 藤沢市 2019/07/13

成長途中のサガミラン(直後に黒ずんで腐った) 鎌倉市 2026/07/16

成長途中のサガミラン(直後に黒ずんで腐った) 鎌倉市 2026/07/16

開花中のサガミラン 大磯町 2025/07/25

開花中のサガミラン 大磯町 2025/07/25

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/07/26

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/07/26

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/07/28

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/07/28

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/08/01

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/08/01

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/08/01

開花中のサガミラン 真鶴町 2017/08/01

サガミランの花

高さ20cm内外の花茎を立ち上げて花を一個から数個咲かせる。花色は白っぽい黄緑色で、赤い斑紋は入らない。第一陣が6月末、第二陣が7月20日頃、に開花する傾向あるか、気のせいか。マヤランと共通して梅雨(6月~7月中旬)の蒸し暑さに触発されて咲くものと思われるが、花茎の成長途中で、あるいは開花してすぐ、マヤランやナツエビネ(夏海老根)同様に黒ずんで腐り始めてしまうことも少なくない。

(例年まともに開花はしない)サガミランの蕾 大磯町 2025/07/25

(例年まともに開花はしない)サガミランの蕾 大磯町 2025/07/25

サガミランの開花直前の蕾 真鶴町 2017/07/23

サガミランの開花直前の蕾 真鶴町 2017/07/23

サガミランの花 大磯町 2025/07/25

サガミランの花 大磯町 2025/07/25

サガミランの花 大磯町 2025/07/25

サガミランの花 大磯町 2025/07/25

サガミランの花 大磯町 2026/07/07

サガミランの花 大磯町 2026/07/07

サガミランの花 真鶴町 2017/08/01

サガミランの花 真鶴町 2017/08/01

サガミランの花 真鶴町 2017/08/01

サガミランの花 真鶴町 2017/08/01

マヤランより側花弁が幅広い。そのためか、ぱっと見は細長い花被片がしゅっと開くマヤランよりもずんぐりむっくりした花という印象を受ける。側花弁の先端はマヤランよりも強く反って開く傾向あり。

サガミランの花 真鶴町 2017/07/28

サガミランの花 真鶴町 2017/07/28

サガミランの花のサイズ感 真鶴町 2017/07/26

サガミランの花のサイズ感 真鶴町 2017/07/26

サガミランの一部が黒ずんできた花 藤沢市 2019/07/13

サガミランの一部が黒ずんできた花 藤沢市 2019/07/13

マヤラン同様に、蕾は付けどもいつまで待ってもぱっとは開花しないまま、気づけば咲き終わって実を結ぶ、あるいは黒く腐って終わる、という個体がある。大磯町の花茎を20本は立ち上げる大きな群落などは、ただの一つもまともには花を開かずに咲き終わってしまった。例年そうなのだという。

サガミランの実

マヤランと共通して自家受粉(じかじゅふん)を行うという話を聞いているが、その割には結果率が低い。

(まともに開花することなく)実になり始めたサガミランの群落 大磯町 2025/07/25

(まともに開花することなく)実になり始めたサガミランの群落 大磯町 2025/07/25

(まともに開花することなく)実になり始めたサガミラン 大磯町 2026/07/21

(まともに開花することなく)実になり始めたサガミラン 大磯町 2026/07/21

(まともに開花することがなかった)サガミランの実 大磯町 2026/07/21

(まともに開花することがなかった)サガミランの実 大磯町 2026/07/21

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)

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ナギラン

『サガミラン』へのコメント

  1. 綾瀬市立中央公民館 岡田 伸夫 投稿日:2018/07/11(水) 11:42:47 ID:d4548e8ab 返信

    「サガミランモドキ」の名称について 国立科学博物館筑波実験植物園の2006-2014年度研究結果「菌従属栄養植物の系統と進化」(植物科学最前線)によると遺伝子分析の結果からマヤランとサガミランは別種との判定であり、かつての腐生植物⇒菌従属栄養植物のような改め方がなく、環境省は平成20年度「絶滅のおそれのある動植物種の生息域外保全に関する基本方針(案)」に基づき自然環境局が2009年2月に出した「絶滅危惧植物種子の収集・保存等に関するマニュアル」でも依然として「モドキ」のまま、神奈川県のレッドデータブックでは明快に「サガミラン」と表記されています。2015年秋頃から当方の公園では照葉樹林及び土手に「マヤラン」とこのランがベニタケ等のキノコとともに菌根菌を共有し共にでています。生物の多様性はともかく、その名称については地域別の呼称とは異なるので、ややこしくないほうが良いのではと思っています。

    • mirusiru.jp 投稿日:2018/07/11(水) 13:57:08 ID:e5b574cb0 返信

      こんにちは。研究者の方でしょうか。貴重なご意見ありがとうございます。
      コメントを単純化致しますれば、
      ・マヤランとサガミランは別種であると確定している。
      ・サガミランモドキという呼称は使うな。
      という二点でよろしいでしょうか。

      まず本ページタイトルのサガミランモドキは環境省レッドリストに従いました。
      環境省レッドリスト2018にもなおサガミランモドキの名が発見できます。
      というだけで他意はありません。
      サガミランモドキという名が現に世に知られてしまっている以上そこに一切触れないわけにも参りませんけれども、”遺伝子分析の結果からマヤランとサガミランは別種”であることが確定しているのでしたら当サイトにおける話の構成はマヤランとサガミランの二本立てにしてサガミランモドキはできうる限り排除の方向にもっていった方が仰る通り万人にわかりやすく適切だと思います。

      さすれば、”遺伝子分析の結果からマヤランとサガミランは別種との判定”という記述のある具体的な論文なり資料(ウェブなり図書館等で閲覧できるもの)をたいへんお手数ではございますけれどもお示しいただけないでしょうか。
      別種ということになりましたという噂は耳にしているのですが、その資料をずばり拝見したことが残念ながらございません。(その結果、サガミランモドキを軸にした混沌とした”古い”記述に終始しております。)

      「菌従属栄養植物の系統と進化」(http://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJ-Review5C-2.pdf)のページ内検索で「サガミラン」はヒットしませんでした。

      「菌従属栄養植物の進化に伴う菌根菌相のシフト —進化の道のりでおこった菌根共生のダイナミックな変化— 」(http://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJ-Review5C-6.pdf)のページ内に”マヤランとサガミランの2種”、”マヤランとサガミランはお互いに姉妹関係”の記述があることから、マヤランとサガミランを別種として取り扱っているところまでは理解できたのですが、そもそもの”遺伝子分析の結果からマヤランとサガミランは別種との判定”に至った部分に辿り着けませんでした。

      綾瀬市にマヤランのみならずサガミランまで出ているなんて凄いですね。
      座間・大和・綾瀬あたりの情報はブログ等であまり発信されていないように感じています。(私がチェックしきれていないだけかもしれませんが。)
      三浦半島や相模原に引けを取らない、遭いたかったあの子やこの子も結構いてはるんじゃないかと、密かにうすうす狙っている地帯ではあります。(といいながら、湘南・鎌倉・三浦半島エリアから外れてしまうためやはりどうしても後回しになってしまうのですけれど。)
      大切なもの、たくさんの方に見て知っていただけるといいですね。そうなると盗掘されますが。‥。