ミソハギ

禊萩 フトモモ目/ミソハギ科/ミソハギ属 花期/6月下旬~8月
学名/Lythrum anceps (Koehne) Makino

薬用自生種改良種

ミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/04

#ミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/04

水辺周辺の日当たりの良い湿った土壌に好んで生える多年草(宿根草)。やや背高で、草丈は1mくらいになる。地下茎でよく増え、密集した群落をつくる。名は、禊(みそぎ、水を使ったお祓い)に用いられ、ハギ(萩)に似た色の花を咲かせるもの、の意。ミソギハギ転じてミソハギという。お盆(旧暦7月15日、転じて新暦7月15日ないし月遅れの8月15日)の頃にちょうど盛りを迎える花で、お盆の行事に供えられる代表的な盆花(ぼんばな)である。お盆の時期に寺で勤修(ごんしゅ)される盂蘭盆会(うらぼんえ)なる行事の中で餓鬼道(がきどう、六道のうち地獄道の次に過酷な”あの世”で永久に飲み食いできずに貪(むさぼ)り苦しむことを強要される)に落ちて苦しんでいる衆生(しゅじょう、家族や他人などの分け隔てがない生きとし生けるものすべて)に飲食を与えて供養する施餓鬼会(せがきえ)が執り行われるが、精霊棚(しょうりょうだな、先祖の霊を家に迎えるための祭壇)に置かれた閼伽水(あかみず、清らかな水)を周囲に撒いて集まってきた餓鬼たちの喉の渇きを癒すときに用いられるのがミソハギの束である。同様に仏教と関わりが深いハス(蓮)と併せて日本の夏には欠かせない花で、古来よりそこかしこで栽培されてきた植物である。従って、神奈川県内でも広く水辺に生えているも、元よりの自生種なのか栽培由来のものなのかは最早わからない。池の畔(ほとり)に、田んぼの近くに、よく生えている。手軽に栽培するなら鉢植えでも可能。10号(直径30cm)の菊鉢に田んぼの土を入れ、背高に育つ茎が倒れにくくなるよう極力深植えにし、できるだけ大きな受け皿を下に敷いて水を満たして腰水(こしみず)にすると良い。気温35℃を超えるような真夏の炎天下でも毎日じゃぶじゃぶ水をやって、土を干上がらせてはいけない。根腐れはしない。とはいえ灼熱のアスファルトの上などには直置きしないこと。庭植えする場合はピートモスを多めに入れるなど保水性を高めた土を用い、とにかく土を乾燥させないようこまめに潅水(かんすい、水やり)すること。強い風に当ててしまうと茎が倒れて見苦しい姿になってしまうのが最大の難点。

池畔に植栽されたミソハギ 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

池畔に植栽された#ミソハギ 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

池畔に植栽されたミソハギ 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

池畔に植栽された#ミソハギ 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

池畔に植栽されたミソハギ 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

池畔に植栽された#ミソハギ 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

ミソハギ 東京都調布市・神代植物公園水生植物園 2020/08/04

#ミソハギ 東京都調布市・神代植物公園水生植物園 2020/08/04

ミソハギ 東京都調布市・神代植物公園水生植物園 2020/08/04

#ミソハギ 東京都調布市・神代植物公園水生植物園 2020/08/04

近似種にエゾミソハギ(蝦夷禊萩)なるものあり、これもやや希ながら栽培されることがある。ぱっと見はそっくりであるが、全体的にミソハギは無毛、エゾミソハギは細かな毛が多い。葉と萼(の付属体)の形状も違う。但し、両者の性質を合わせ持ち、どちらとも判断が付きかねる雑種もある。メミソハギ(雌禊萩)と呼ばれる。見かける頻度が多いのは、ミソハギ、雑種メミソハギ、エゾミソハギ、の順。

ミソハギ 鎌倉広町緑地 2019/07/21

#ミソハギ 鎌倉広町緑地 2019/07/21

ミソハギ 東京都調布市・神代植物公園水生植物園 2020/08/04

#ミソハギ 東京都調布市・神代植物公園水生植物園 2020/08/04

葉は対生。葉身(ようしん)基部は楔形(くさびがた)で、茎を抱かない。無毛なので触るとつるつる。エゾミソハギの葉身基部は切形(せっけい)で、茎を抱く。有毛なので触るとざらざら。

ミソハギの葉 鎌倉広町緑地 2019/07/21

#ミソハギの葉 鎌倉広町緑地 2019/07/21

ミソハギの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/24

#ミソハギの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/24

ミソハギの葉 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

#ミソハギの葉 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

ミソハギの葉 横浜市緑区・四季の森公園 2023/07/21

#ミソハギの葉 横浜市緑区・四季の森公園 2023/07/21

ミソハギの葉 平塚市・要法寺 2021/06/18

#ミソハギの葉 平塚市・要法寺 2021/06/18

ミソハギの花

梅雨真っ盛りに咲き始め、梅雨が明けた猛暑の真夏に真っ盛りを迎える。花色は明るい赤紫(濃いピンク)。

ミソハギ 鎌倉広町緑地 2019/07/21

#ミソハギ 鎌倉広町緑地 2019/07/21

ミソハギ 横浜市緑区・四季の森公園 2023/07/21

#ミソハギ 横浜市緑区・四季の森公園 2023/07/21

ミソハギ 鎌倉広町緑地 2017/08/24

#ミソハギ 鎌倉広町緑地 2017/08/24

萼片は正三角形のものがあるのだが、小さくて目立たない。ぱっと見で萼片のように感じられる突起はじつは萼片ではなく、本当の萼片と萼片の間から突き出ている付属体(付属片、副萼片)と呼ばれているものである。この付属体は、小さく、平開する。エゾミソハギの付属体は大きくて長く、平開しない。

ミソハギの蕾で目立つ、平開した付属体 横浜市南区・こども植物園 2017/07/01

#ミソハギの蕾で目立つ、平開した付属体 横浜市南区・こども植物園 2017/07/01

ミソハギの蕾で目立つ、平開した付属体 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

#ミソハギの蕾で目立つ、平開した付属体 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

ミソハギの平開した付属体 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

#ミソハギの平開した付属体 平塚市・花菜ガーデン 2023/07/28

ミソハギの実

ミソハギの実 箱根湿生花園 2023/10/03

#ミソハギの実 箱根湿生花園 2023/10/03

ミソハギの実 箱根湿生花園 2023/10/03

#ミソハギの実 箱根湿生花園 2023/10/03


東京都調布市・#神代植物公園水生植物園、横浜市南区・#こども植物園、横浜市緑区・#四季の森公園(池畔の北口広場近く木道沿い)

#光則寺、#長谷寺、#鎌倉中央公園、#鎌倉広町緑地、鎌倉市植木・#龍宝寺、平塚市・#要法寺(鉢植え、6月中旬~7月上旬、朝にハスと)、#花菜ガーデン(尾根見の池、キッズビレッジの池)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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