アメリカネナシカズラ

アメリカ根無葛 ナス目/ヒルガオ科/ネナシカズラ属 花期/6月下旬~10月 結実期/7月~11月

外来種駆除

外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」

ハマヒルガオなどに寄生したアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

ハマヒルガオなどに寄生したアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

北米原産の一年草。海岸などに出現し、姿はまるで”捨てられて絡まっている釣り糸”のよう。名前のとおり砂浜などに根を張ることなく、また事実上葉っぱもない。全体的にオレンジ色なので、葉緑素を持たず光合成ができない、つまりは寄生植物。蔓状の茎で他の海浜植物に覆いかぶさり絡みつき、その植物から栄養分を吸い取っている。日本在来の海浜植物は数を減らしているものが多いなか外来種の帰化植物がその養分を奪い取って弱体化させているとあって、徹底して目の敵(かたき)とすべき存在である。とはいえ、似たような姿の在来種ハマネナシカズラ(浜根無葛)は環境省レッドリスト2018で絶滅危惧II類(VU)に指定されているほどの稀少種なので、むやみやたらなアメリカネナシカズラの駆除は誤ってハマネナシカズラをも駆除しかねない危険を伴う。いや、そもそも体感温度が40℃を優に超える焦熱地獄の海辺で他の植物にしつっこく絡まった釣り糸をどうやって除去できたものか。生え始めの時期を狙う以外は駆除する手立てはないかもしれない。湘南・鎌倉・三浦半島では砂浜でよく見かけるものの、海浜植物というわけではなく、内陸にも帰化している。ハマネナシカズラもまた砂浜だけに生えるものでなし。

ハマゴウに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

ハマゴウに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

エビヅルなどに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

エビヅルなどに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

エビヅルに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

エビヅルに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

エビヅルに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

エビヅルに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

ハマゴウに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

ハマゴウに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

ハマヒルガオに寄生したアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

ハマヒルガオに寄生したアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

ハマヒルガオに寄生したアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

ハマヒルガオに寄生したアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

平成30年(2018)6月下旬から7月上旬にかけて辻堂西海岸三丁目の藤沢市辻堂浄化センター下の海岸一斉に出現。種子を熟した7月中旬に枯れて一斉消滅。7月いっぱいは出遅れたらしい数株が残存した。同時期に湘南海岸(藤沢市鵠沼海岸四丁目・引地川~茅ヶ崎市柳島・相模川、全域を徒歩で目視)の砂浜を調査したが、他所でアメリカネナシカズラは確認できなかった。また、ハマネナシカズラの発見にも至らなかった。
同年、9月中旬から10月上旬、辻堂西海岸三丁目・藤沢市辻堂浄化センター下から汐見台海岸東部に少数出現。藤沢市鵠沼海岸四丁目・引地川~茅ヶ崎市汐見台にハマネナシカズラなし。

アメリカネナシカズラの特徴 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの特徴 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

オオフタバムグラに憑りついたアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

オオフタバムグラに憑りついたアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

アメリカネナシカズラに憑りつかれ枯れかけている(黄葉している)ハマゴウ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラに憑りつかれ枯れかけている(黄葉している)ハマゴウ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの完熟した実と、枯れてしまったハマゴウ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの完熟した実と、枯れてしまったハマゴウ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの花

やや白っぽい小さな花を咲かせる。花弁(花冠の裂片)はふつう五枚、ときに四枚。はじめ閉じ気味ながら平開してゆく。蕊は花冠から突き出て見える。

ハマヒルガオに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

ハマヒルガオに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

ハマゴウに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

ハマゴウに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

アメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

ハマヒルガオに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

ハマヒルガオに絡まるアメリカネナシカズラ 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/06/26

開花時に花弁があまり反らない、従って蕊が突き出て見えない、果時に花弁は反るものの蒴果は露出しない、はハマネナシカズラである可能性。雄蕊が短いため花から突き出て見えない、花時にも果時にも花弁はほとんど反らない、実の様子はアメリカネナシカズラっぽい、というものあらばマメダオシ(豆倒し)の可能性。マメダオシは神奈川県内自生なし。

アメリカネナシカズラの実

花弁(花冠の裂片)は強く反り返ってずる剥け状態になり、実は露出する。

アメリカネナシカズラの未熟な実 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの未熟な実 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの未熟な実 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

アメリカネナシカズラの未熟な実 藤沢市辻堂西海岸三丁目 2018/09/24

アメリカネナシカズラの熟しかけの実 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの熟しかけの実 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの完熟した実 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19

アメリカネナシカズラの完熟した実 藤沢市辻堂西海岸 2018/07/19


藤沢市辻堂西海岸三丁目(砂浜)

藤沢市大庭・引地川親水公園南方の田んぼ(藤沢駅北口行き「大六天」バス停北東にある耕作放棄一区画の草藪に絡まって少々)

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『アメリカネナシカズラ』へのコメント

  1. 戸田千秋 投稿日:2019/06/23(日) 22:50:25 ID:6dcd60ff7 返信

    mirusiru.jp様、早速お返事ありがとうございます。

    フラ関係のサイトにはなかなかこのような情報も無く…
    苦戦しておりましたところにお返事を頂け、それ以上の勉強をさせて頂き感謝しております。
    保護対象の植物、必ずお約束を守らせて頂きます!
    10代の頃から湘南にはサーフィンで通いつめ、20代から移住し、わたしにとっても大切な場所です。砂浜の侵食に対する話が浮き彫りになりがちですが、今まであまり意識していなかった海岸の保護植物へもこれを期に関心を深めさせて頂きたいと思います。
    貴重なお話をお聞かせ頂き心から感謝しております。
    また、アメリカネナシカズラを発見する事が出来るかはわかりませんが、コンテストへ出場する子供達へもこの経緯をお話しさせて頂き、これを期に自然保護について語り合ってみたいと思います。

    Mahalo nui loa

    • mirusiru.jp 投稿日:2019/06/24(月) 05:55:48 ID:f70d069bf 返信

      おはようございます。
      サーファーらしいすかっと清々しいお返事をいただけてうれしく思います。

      湘南の海も、海水浴シーズンが終われば地元の子供会が動員されてゴミ拾いをしていたりするじゃないですか。BBQやら花火やらのゴミを子供たちが拾って片付けている。海辺に生えている植物も、砂の飛散を防ぐ効果もあるコウボウムギをせっせと植えているおじさんがいたり、かわいらしい花を咲かせるハマヒルガオを保護団体がちびっこ集めて植栽する行事を開いていたり、カネも時間も労力もかけている人たちがいてぎりぎり維持できているような状態です。本来どちらもあるべき姿ではないと思いますけれど、そんな現状です。あまり気にしていると砂浜を歩けなくなってきますけど。

      先の返信で書きました「本年の発生状況は今現在の時点では確認をしておりません」は、”定期的に観察を続けているけれど本年はまだ見かけていない”ではなく”観察そのものを行っていない”という意味です。あるかないか、まったくわかりません。野良に生えている植物は探したところで見つかりませんでしたという空振りをすることはしょっちゅうあることですので、何とも申し上げようがございません。辻堂海浜公園の西駐車場に車を止めて、サイクリング道路を汐見台ウッドデッキの辺りまで歩いてみて、異様なオレンジ色ですから生えていれば目に留まるのではないでしょうか。今年は去年よりは涼しいので、どうですかな。

      フラって、たしか神や自然を畏敬する精神が込められていたような?サーファーやフラの方が海浜植物の保護に関心を寄せていただければこれより心強いものはありません。

      • 戸田千秋 投稿日:2019/06/26(水) 20:58:15 ID:5ae451e73 返信

        mirushiru.jp様いつも早い対応に感謝すると共に、勝手に親近感を感じています
        図々しくてすいません!

        それが…なんと!早速ですが平塚で生徒さんが見つけてくれました❣️
        もちろんお約束は守らせていただいております!

        海岸の植物保護のために活動されている方々がこの湘南にいらした事を私は恥ずかしながら存じ上げませんでした。子供達が踊るフラは自然をテーマにされた歌が実際多いのですが、今回の出来事は良い課題となり、mirushiru .jp様のご意見は正にフラに直結した事ですので平塚の教室の子供達にはアメリカネナシカズラの採集から始め、レイを編み、それを着けて踊る。そんな経験をさせてみたいと!思いました。もちろん、自然保護について語らいながらレイをみんなで編んでみたいと思います。
        可愛い女の子達が、優しく植物を採集し、丁寧にレイを編み、心を込めて踊るフラ。
        指導者として心から幸せを感じることが出来る瞬間だと今からワクワクします!
        素晴らしいコメントを心から感謝しています。

        • mirusiru.jp 投稿日:2019/06/28(金) 04:55:57 ID:19c5e9e9b 返信

          戸田千秋さん、こんばんは。
          平塚にもありましたか。平塚の海岸は、平塚市観光協会が音頭を取って「ハマヒルガオ再生プロジェクト」と称したハマヒルガオの植栽活動が行われています(検索ワード「平塚 ハマヒルガオ 保護」あたりでググってみてください)。今年は(順延が続いて)ちょうど明日6月29日(土)13時半から湘南ひらつかビーチセンター周辺で行われるようです(http://www.n-gec.org/news/news_images/20190515_248/20190515.pdf)。視点を変えると、天敵であるアメリカネナシカズラの駆除もついでにやっちゃおうということに、もしかしたらなっているかもしれません。昨日6月27日(木)は高浜台の波打ち際で両脚と着衣のない女性の遺体が発見されたという物騒なニュースがあったばかりですし、色々とお気をつけて、万事丸く収まるように宜しくどうぞ。

          • T 投稿日:2019/06/28(金) 22:50:46 ID:56613350e

            mirushiru.jp様
            こんばんは、明日再生プロジェクトが行こなわれるのですね(・・;)
            阻止は出来ませんので、こんな事言うのもなんですが…
            正直なところ残ってて欲しいです(・・;)

            ニュースの件はかなりビックリしました。
            なかなか簡単ではないですが、できる限りの事をやって行こうと思います。
            いろいろご親切にありがとうございます!

  2. 戸田千秋 投稿日:2019/06/23(日) 18:56:46 ID:6dcd60ff7 返信

    はじめまして。フラの教室を主宰しておりますTと申します。よろしくお願い致します。
    アメリカネナシカズラを探しています。(子供たちがコンテストに使用する予定です)
    可能であれば、アメリカネナシカズラ の生息場所を詳しく教えていただけないでしょうか?
    宜しくお願い致します。

    • mirusiru.jp 投稿日:2019/06/23(日) 20:41:03 ID:2cd3a4abe 返信

      Tさん、アロハオエ。

      お申し出の件ですが、昨年六月末のアメリカネナシカズラの発生場所は上に掲載した通りです。写真のキャプションに地区名まで明示しておりますし、本文にも場所を具体的に記述しています。たかだか四百メートルの範囲の砂浜に絞れるはずですので、それ以上はご自分でお探しいただくよりありません。また本年の発生状況は今現在の時点では確認をしておりませんので、昨年の地点をピンポイントで明示したところで今年もまさにその場所に生えているとは限りません。一年草なので毎年同地点に発生するものではありません。また海辺のものですので、生える場所が大きく移動することも考えられます。天候等による発生時期の変異もあるものと思われます。いかんせんアメリカネナシカズラを今年見ていないので、ここへ行けばありますよという回答はできかねる次第です。

      加えて、私共からのお願いです。
      アメリカネナシカズラは招かれざる外来種ですので採取される分には問題はないと思います。むしろ全部持って行っていただきたいくらいです。ただ一点‥。
      フラの方々からすれば「大事なのはアメリカネナシカズラの方で、それに絡まっている雑草はゴミ」という感覚になろうかと思われます。アメリカネナシカズラを大事に採取して、絡まっちゃってる邪魔なものは容赦なくちょん切って捨てていく、という光景が目に浮かばないでもありません。ところが私共からすると全く逆の認識で、「絡まられちゃっている海浜植物こそ希少で保護活動まで行われている大事なもので、アメリカネナシカズラの方がゴミ」ということになります。傷つけるならアメリカネナシカズラの方にして、ということになるのですが、それでは意味がないですよね(笑)。相容れない話になってしまうのですが、その辺は何卒ご考慮頂き、うまくやってもらえればと存じます。他の植物を傷めずスルスルスルーっとアメリカネナシカズラだけを採れればいいのですが。手元の話のみならず、足でハマヒルガオの葉をざくざく踏みつけながらアメリカネナシカズラを採取するというのもかなり残念な行為に映ってしまいます。踏み付けは海浜植物が減少する理由の一つに挙げられています。ハマゴウ、ハマボウ、ハマヒルガオ、ハマニガナ、オカヒジキ、ケカモノハシ、オニシバ、コウボウムギ、コウボウシバ、砂浜にはこれらが生えているものと思われますが、どいつもこいつも保護対象という惨状です。できうる限り傷めない方向で宜しくお願い致します。お願いの方が長くなっちゃいました、すみません。

      アメリカネナシカズラは種子を大量に作りますから、(来年に向けて)栽培にチャレンジするというのも一つの手かもしれません。アメリカネナシカズラ畑、なかなか魅力的な光景です。