サザンカ

山茶花 ツツジ目/ツバキ科/ツバキ属 花期/10月中旬~12月

改良種

サザンカ 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

サザンカ 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

山林に生える常緑の小高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。大きく育つと背丈は10m近くにもなる。花はツバキ(椿)に似る。

サザンカとツバキの違い

サザンカとツバキの見かけ方は以下の通りが原則だが、両種の交配種も多く、厳格な峻別は最早不可能。


サザンカ

葉 ‥ ヒサカキ(非榊)ほどではないものの小さく、扁平。鋸歯は小さいながらはっきり目立つ。
サザンカの葉 フラワーセンター大船植物園 2016/11/29

花 ‥ 10月中旬~12月、平開咲きが多い。花びら一枚一枚ばらばらに散る。
サザンカの散り方 フラワーセンター大船植物園 2016/11/29

雄蕊(おしべ)は付け根の部分で結合せず、モヤシのような姿の花糸(かし)が一本一本独立して子房から伸びる。雄蕊も豊かに広がる。

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

花には僅かながら香りあり。木が近くにあれば香りが辺りに漂ってくるということはなく、花に鼻を近づけて嗅げば匂いを感じはするという程度。スイセン(水仙)を弱めたような芳香である。

若い枝、葉柄、葉の主脈に毛が生える。

サザンカの若い枝・葉柄・主脈に生える毛 厚木市・神奈川県自然環境保全センターツバキ園 2018/02/07


ツバキ

葉 ‥ 大きく、縁(ふち)が反ってカールする。鋸歯はあるがおとなしく目立たない。

サザンカとツバキの葉の比較

花 ‥ 2月上旬~4月、半開きのラッパ咲きが多い。散るときは花一つ丸ごとぽとっと落ちる。

ツバキ('参平椿')の落花 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2018/01/20

雄蕊は茶筅のごとく束として結合しているものが多い。

ツバキ('相模太郎庵')の雄蕊 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2017/12/22

サザンカの原種は一重の白花で、花弁先端のみうっすら桃色に染まることがある。九州南部など温暖な地方に自生し、寒さには弱い。童謡「たきび」あるいは演歌歌手大川栄策のヒット曲「さざんかの宿」(1982)の影響からか、サザンカは厳しい冬の寒さを耐え忍ぶ北国の花であるかのようなイメージが定着しているかもしれないがまったくの誤りで、南国の花である。かつて自生の北限とされていたのは佐賀県吉野ヶ里町で「千石山サザンカ自生北限地帯」として国指定天然記念物、現在自生の北限とされているのは本州唯一の自生地でもある山口県萩市の国指定天然記念物・指月山(しづきやま)。つまるところ、関東地方で見られるサザンカは基本的にすべて何らかの交配種ないし園芸品種(300以上の品種あり)で人為的に植えられたものと考えて差し支えない。原種を栽培しているという植物園があってもよさそうだが、どうも話に聞かない。
サザンカはサザンカ群・カンツバキ群・ハルサザンカ群に一応分けられ、この順に開花する。サザンカ群は原種サザンカに近いものなので白花の品種が多い。

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

原種に近い品種ではないかといわれている鎌倉市・安国論寺のサザンカは市指定天然記念物。

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカ・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカの葉・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカの葉・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカの葉裏・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカの葉裏・鎌倉市指定天然記念物 安国論寺 2016/12/04

サザンカ 安国論寺・日朗上人御荼毘所 2016/12/04

サザンカ 安国論寺・日朗上人御荼毘所 2016/12/04

サザンカ 安国論寺・日朗上人御荼毘所 2016/12/04

サザンカ 安国論寺・日朗上人御荼毘所 2016/12/04

サザンカの葉 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

サザンカの葉 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

サザンカとツバキの簡単な分類


サザンカとツバキの簡単な分類

サザンカ カンツバキ ハルサザンカ ツバキ ヤブツバキ ヒメシャラ ナツツバキ

サザンカもツバキも蕾の頃から霜や風雨などで花弁が傷みやすく、完璧に美しい姿で咲いている姿にはなかなかお目にかかれない。たいていどこかしらが黒ずんでいたり虫食い穴が開いていたりするから残念。完璧に美しい花の見事さは目を見張るものがあるが、人家の庭から道路沿いから公園までそこかしこに植えられていてよく見慣れているせいか不当なほど花見に人気がないのもまた事実。ツバキはまだしも、サザンカは尚更。咲き終えた花殻(はながら)が完全には落ちずいつまでも傷んだ状態で残る難点もあるので、花見は花期のはじめがよいか。しかし今度は花数の物足りなさが気になってしまうが。

サザンカ 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

サザンカ 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

本来のサザンカは、花糸は淡い黄色で、葯は濃い黄色か橙黄色(とうこうしょく)。花柱先端は三裂ないし四裂し、子房には毛が生える。蒴果(さくか)にも毛が残る。

サザンカ 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

サザンカ 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

横浜市の市民の木、大磯町の木に制定されている。県内では他に、秦野市、南足柄市の市の木でもあるが、サザンカの原種が植物園などで展示されているという話は県内一例も聞いたことがない。

サザンカ 横浜市金沢区・長沢公園 2017/11/12

サザンカ 横浜市金沢区・長沢公園 2017/11/12

春(5~6月)、秋(8~9月)にチャドクガ(茶毒蛾)という蛾の幼虫が発生するので注意が必要。毛(空中を浮遊するものを含む)に触れると皮膚がかぶれてたいへん痒(かゆ)い。


東京都江東区・亀戸中央公園(B地区芝生広場の旧中川側に原種2本あり=10月下旬~11月見頃)、東京都府中市・東京農工大学府中キャンパス(箱田直紀元教授コレクションの園芸種)、東京都町田市・薬師池公園(椿園にサザンカ・ツバキ410種1,100本)、横浜市南区・こども植物園(10月中旬~)、横浜市青葉区・こどもの国(入園料600円、椿の森にサザンカ100種100本・ツバキ500種5,000本他)

覚園寺、安国論寺(本堂向って左=11月中旬~12月上旬・白色・樹齢350年・ツバキとの交配だが原種サザンカに近いか・市指定天然記念物、日朗荼毘所に同種、墓地周辺に多種)、極楽寺(山門外、本堂向って左手前 ※山門内は撮影禁止)、鴫立庵(※平成28年(2016)度から入庵料町外大人100円⇒300円に改定)

妙本寺(水屋後方に安国論寺系)、源氏山公園、光則寺、フラワーセンター大船植物園(原種なし、カンツバキ群がカンツバキではなくサザンカとして展示されている可能性)、氷室椿庭園、高麗山公園(タチカンツバキ(立寒椿)か)、大磯町・延台寺

厚木市・自然環境保全センター(ツバキ園に1種1本、樹名板「サザンカ」とのみ、来歴不明ながら葉は小さいもの)

参考資料

『園芸植物大事典 3』 小学館発行(1989)

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