猫の乳 バラ目／クロウメモドキ科／ネコノチチ属 花期／6月上旬～中旬 結実期／9月～10月
学名／Rhamnella franguloides (Maxim.) Weberb.
稀少
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」
ネコノチチの実 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
岐阜県以西に分布する落葉高木で、雌雄同株（しゆうどうしゅ）。けったいな名前は、実の姿が雌ネコ（猫）の乳頭に見立てられたことから。ナツメ（棗）の近縁種である。西国に自生する木なのだが、なぜか神奈川県横浜市戸塚区のごく一部の地区で見ることができる。西国から移り住んだ人が望郷の思いで植えたものの名残りとかお伊勢参りの土産に珍木を持ち帰ったとかそういう類ではないかと私は妄想しているが、自生であると見做（みな）されている。平凡社『改定新版 日本の野生植物2』も「離れて神奈川県保土ケ谷にもあるが、こえは異例の野生地である」と。湘南・鎌倉・三浦半島では栽培ものも含めて見かけない。
ネコノチチ 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
葉はコクサギ（小臭木）型葉序で、単純な左右交互ではなく左左右右左左と二枚ずつ互生する。葉の縁（ふち）には細かい鋸歯あり。葉の先端は先細りしやや長い。葉裏から見ると葉脈が赤みを帯びているのも大きな特徴。これだけ押さえておけば、全体的な姿がなんとなく似るムラサキシキブ（紫式部）と見分けがつくのではないか。
ネコノチチの花期の葉 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
ネコノチチの花期の葉裏 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
ネコノチチの結実期の葉 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノチチの結実期の葉裏 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノチチの結実期の葉 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノチチの結実期の葉裏 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
幹は、戸塚区にあるのは太いもので人の手首くらい。先に成長した他の高木に隠れて日が当たらないため生育具合がよろしくないのだろう。東京都調布市・神代植物公園（じんだい－）にある一本は結構は高木で幹も立派に太いもの。樹皮には縦縞模様が入り、ちょっとゴンズイ（権萃）っぽい感じがする。
ネコノチチの幹 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノヒゲ（猫の髭）は、園芸栽培される東南アジアなどを原産とする草本。
ネコノチチの花
葉腋に小さな両性花が付く。小花もゴンズイに似ていて、緑色で平開しないもの。
ネコノチチ 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
ネコノチチ 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
ネコノチチ 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
ネコノチチ 横浜市戸塚区平戸町 2018/06/02
ネコノチチの実
はじめ緑色で9月頃に黄色く変色、のち9月下旬から10月にかけて赤色から黒に熟す。見頃は各色楽しめる9月末あたりか。
ネコノチチの実 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノチチの実 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノチチの実 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコノチチの実 横浜市戸塚区平戸町 2017/10/18
ネコの乳 茅ケ崎里山公園 2017/05/15
東京都文京区・#小石川植物園（分類標本園）、東京都調布市・#神代植物公園（山野草園に高木）、東京都八王子市・#森林総合研究所多摩森林科学園（第2樹木園、入園料300円）、横浜市戸塚区平戸町
参考資料
『改訂新版 日本の野生植物 2』 大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩編 平凡社発行（2016）
