ヒイラギ

柊 シソ目/モクセイ科/モクセイ属 花期/10月中旬~12月 結実期/5月下旬~6月上旬
学名/Osmanthus heterophyllus (G.Don) P.S.Green

ヒイラギの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2016/12/10

#ヒイラギの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2016/12/10

常緑の小高木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。鋭利な鋸歯のある葉で知られるヒイラギは魔除けとして鬼門の方角(北東)に植えると良いとされ、寺の境内や庭に多い。反対の裏鬼門(南西)にはナンテン(南天)を植えるのだとか。2月3日頃の節分ではヒイラギの葉に焼いたイワシ(鰯)の臭い頭を刺して飾り、鬼除けとする風習が見られる。

開花中のヒイラギの門かぶり玉散らし仕立て 茅ヶ崎市中島 2022/11/18

開花中の#ヒイラギの門かぶり玉散らし仕立て 茅ヶ崎市中島 2022/11/18

ヒイラギの葉 藤沢市・長久保公園 2016/12/09

#ヒイラギの葉 藤沢市・長久保公園 2016/12/09

ヒイラギの葉といえばなんといっても強烈な棘(とげ)が印象的。ところがこの棘は木が大きく成長するに従って減ってゆき、しまいには棘が一切ないふつうの全縁(ぜんえん)の葉に変わる。対生。

ヒイラギの棘を失いつつある葉 鎌倉市・浄光明寺 2017/10/09

#ヒイラギの棘を失いつつある葉 鎌倉市・浄光明寺 2017/10/09

ヒイラギの棘を失った葉 鎌倉市・浄光明寺 2017/10/09

#ヒイラギの棘を失った葉 鎌倉市・浄光明寺 2017/10/09

若木の頃から葉に棘がなく、縁(ふち)が後ろにくるっとカールする品種ないし変種をツカミヒイラギ(掴み柊、学名/Osmanthus heterophyllus form. undulatifolius (Makino) Asai;Osmanthus ilicifolius var. undulatifolius Makino)という。昭和8年(1933)植物学者牧野富太郎博士が命名。名付けの元となった原木が神奈川県藤沢市の江の島サムエル・コッキング苑にあった。藤沢市指定天然記念物「ツカミヒイラギ」。令和4年(2022)枯死し滅失、令和5年(2023)3月17日指定解除、抜根のうえ案内板も撤去されたため現地に痕跡は残っていない。市が挿し木を試みていたが失敗。他所にツカミヒイラギが現存する情報ないため、絶滅した可能性。葉に棘がない類似品に園芸品種キッコウヒイラギ(亀甲柊)なるものあり、庭木としてまま植栽される。ツカミヒイラギの葉の形状は、キッコウヒイラギほどは特異でない。

ヒイラギ(園芸種'キッコウヒイラギ')の生垣 鎌倉市・鶴岡八幡宮神(苑ぼたん庭園) 2020/01/09

#ヒイラギ(園芸種’キッコウヒイラギ’)の生垣 鎌倉市・鶴岡八幡宮神(苑ぼたん庭園) 2020/01/09

ヒイラギ(園芸種'キッコウヒイラギ') 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2019/12/05

#ヒイラギ(園芸種’キッコウヒイラギ’) 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2019/12/05

ヒイラギ(園芸種'キッコウヒイラギ')の葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/12/08

#ヒイラギ(園芸種’キッコウヒイラギ’)の葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/12/08

ヒイラギ(園芸種'シラフヒイラギ')の葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/01/10

#ヒイラギ(園芸種’シラフヒイラギ’)の葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/01/10

ヒイラギは山地に自生し、神奈川県内でも丹沢や大山に分布。湘南・鎌倉・三浦半島では丘陵地に林内のひょんな場所にヒイラギの幼木が生えていることが希にあるが、これは一体何ものか。周辺に成長した大きなヒイラギは見られないので自生のものではないだろう。栽培ものの逸出が疑われるが、公園や寺境内などに植えられているものはなぜかは知らぬが雄株ばかりで雌花を滅多に見ない。親はなけれど子が育っている怪。

ヒイラギの幼木 平塚市・高麗山公園 中央広場北 2017/02/19

ヒイラギの幼木 平塚市・高麗山公園 中央広場北 2017/02/19

小型な園芸品種にヒメヒイラギ(姫柊)と呼ばれるものがある。なお鹿児島県奄美大島原産のアマミヒイラギモチ(奄美柊黐)はヒイラギとは縁もゆかりもないモクセイ科の樹木であるが、幼木の葉がヒイラギに酷似する。またこれも園芸栽培向けにヒメヒイラギの名前で流通している。但し葉は互生で、実は赤く熟す。

ヒイラギの名を冠する別種に、ヒイラギモクセイ(柊木犀)(ギンモクセイとヒイラギの雑種)、クリスマスの装飾に使われるセイヨウヒイラギ(西洋柊、ヒイラギモチ、ヨーロピアンホーリー、イングリッシュホーリー、クリスマスホーリー)シナヒイラギ(支那柊、ヤバネヒイラギモチ、ヒイラギモチ、チャイニーズホーリー)ヒイラギナンテン(柊南天)などがある。

ヒイラギの花

秋から冬に咲く白色の小さな花はキンモクセイ(金木犀)のような甘い芳香を放つ。花冠裂片は強く反り返り、花糸(かし)が長くて雄蕊が花冠から突き出る、という特徴あり。

ヒイラギの雄花 藤沢市・長久保公園 2016/12/09

#ヒイラギの雄花 藤沢市・長久保公園 2016/12/09

ヒイラギの雄花 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2016/12/02

#ヒイラギの雄花 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2016/12/02

ヒイラギの雄花 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2016/12/02

#ヒイラギの雄花 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2016/12/02

ヒイラギの雄花 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2016/12/02

#ヒイラギの雄花 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2016/12/02

ヒイラギの雌花 鎌倉市・浄光明寺 2017/11/16

#ヒイラギの雌花 鎌倉市・浄光明寺 2017/11/16

ヒイラギの雌花 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/11/12

#ヒイラギの雌花 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/11/12

ヒイラギの雌花 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/14

#ヒイラギの雌花 横浜市戸塚区・舞岡公園 2020/11/14

ヒイラギの雌花 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/11/12

#ヒイラギの雌花 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/11/12

ヒイラギの実

実は同じモクセイ科のネズミモチ(鼠黐)によく似たもの。緑色から黒っぽく熟す。

ヒイラギの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

#ヒイラギの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

ヒイラギの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

#ヒイラギの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

ヒイラギの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29

#ヒイラギの実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29


横浜市戸塚区・#舞岡公園(雌株あり=さくら休憩所公衆トイレ前に1本・小谷戸の里門外生垣内に若干数)、横浜市戸塚区・#俣野園(入口右手)

#報国寺(本堂向かいのサクラの下)、#別願寺、#鶴岡八幡宮(鶴岡幼稚園舎西側に雄株、参道左右(祓所、警備員詰所前)および神苑ぼたん庭園にキッコウヒイラギの雄株、11月末)、#英勝寺(通用門入ってすぐ左手に大樹、若枝以外は葉の棘をほぼ失う、やや病気、花は高所のみか、12月初旬、木曜定休)、#光則寺(山門外)、鎌倉市植木・#龍宝寺(幼稚園と畑の間のモクレン下)、#大船フラワーセンター(和風庭園に(棘がおよそ退化した)雄株=12月初旬、旧第二展示場東側にキッコウヒイラギ、入園口脇園外花壇・花の築山のハナショウブ側に斑入り、園外花壇の電話ボックス横に「ツカミヒイラギ」のタグが付いた低木=葉が旧第二展示場東側のと同形でありキッコイヒイラギである疑いが強い)、藤沢市・#長久保公園(多いがいずれも雄株、12月上旬)、#江の島サムエル・コッキング苑(ツカミヒイラギの雄株、推定樹齢190年、市指定天然記念物、台風などで樹勢悪い、令和4年(2022)枯死、令和5年(2023)3月17日指定解除、抜根)、#大磯城山公園(ひかりの広場北側)

横須賀市平作・#大蔵寺(駐車場への脇道沿いに雌株)、鎌倉市材木座・#五所神社(参道入口海側に雄株)、#散在ガ池森林公園(管理棟~ケイワタバコ群生地の池側に雌株)、片瀬・#常立寺(斑入り)、#寒川神社(人形奉斎殿の南門側にキッコウヒイラギ)、平塚市・#総合公園(香りの森、雄株ばかり)

参考資料

『江の島の四季』 坪倉兌雄著 湘南社発行(2014) ※97頁にツカミヒイラギの写真

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『ヒイラギ』へのコメント

  1. 投稿日:2021/02/05(金) 07:06:40 ID:cd3bb2337 返信

    舞岡公園で果実を見られましたか。
    小宿の里入口付近の生け垣で、花を見ていますが、果実を見ていません。
    観察力の差でしょうか。

    • mirusiru.jp 投稿日:2021/02/06(土) 03:23:23 ID:fde72f550 返信

      楽さん、こんばんは。ご無沙汰をしております。季節の変わり目とあって、毎年のことですが軽度の蕁麻疹が出たり、おそらくもうじき脱皮も始まるでしょうし、花粉症で目がじんわりかゆかったり、感染予防のやるべきことをやらない連中がうじゃうじゃいたり、数日後に口の悪い医者に会わなければいけなかったり、とまぁ、精神的にピリついている毎日です。もうしばらく”ネット引きこもり”は続くかもしれません。

      「小宿の里」は「小谷戸の里」のことでしょうか。あそこの門外生垣は強剪定せざるを得ないので葉が半分にばりばり刈られてますし、クモの巣も多いですし、落ち葉も溜まったままですし、どうせ写真にはならないのでは?実の付きも悪いように感じています。
      掲載している舞岡公園のはいずれも「さくら休憩所公衆女子トイレ前」のものです。