ボタンヅル

牡丹蔓 キンポウゲ目/キンポウゲ科/センニンソウ属 花期/8月~9月上旬 結実期/11月中旬~12月中旬
学名/Clematis apiifolia DC. var. apiifolia

有毒自生種稀少保護

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

主に山地の林縁部に生える蔓性の落葉木本(もくほん)で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。日本に自生するクレマチス(センニンソウ属に分類される植物の総称)の一種で、センニンソウ(仙人草)の近似種。名は、葉の形状がボタンに似ていることから。センニンソウはおよそ開花時期が同じで花の見た目もよく似ていて紛らわしいが、葉の形状が全く異なるので見分けは容易である。神奈川県内では主に丹沢や箱根に分布。林縁の草木が刈られず放置され気味の(車の通行が禁止されている)林道を歩くと出くわすことが多いか。センニンソウやコボタンヅル(小牡丹蔓)に比べれば数は少ない。

ボタンヅル 大和市・泉の森 2019/07/08

ボタンヅル 大和市・泉の森 2019/07/08

フェンスに絡んだボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

フェンスに絡んだボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

フェンスに絡んだボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

フェンスに絡んだボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

フェンスに絡んだボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

フェンスに絡んだボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・早戸川林道 2023/08/31

ボタンヅル 相模原市緑区・早戸川林道 2023/08/31

ボタンヅル 小田原市早川・姫ノ水橋 2023/08/30

ボタンヅル 小田原市早川・姫ノ水橋 2023/08/30

ボタンヅル 小田原市早川・姫ノ水橋 2023/08/30

ボタンヅル 小田原市早川・姫ノ水橋 2023/08/30

葉は対生で、小葉は大きく、一回三出複葉。小葉の切れ込みが進行して小葉がそれぞれ三枚に分かれたもの、つまり二回三出複葉と化したものは変種に位置付けられて、小葉一枚が小さくなることからコボタンヅルと呼び分けられる。小葉が大きい三枚セットならボタンヅル、小葉が小さい九枚セットならコボタンヅルである。が、湘南・鎌倉・三浦半島に自生しているボタンヅルは中間的で、大なり小なりコボタンヅルの性質(小葉の九枚化)が現れる。完全なるボタンヅルを見た例(ためし)はない。『神奈川県植物誌2018』に掲載されているボタンヅルの標本採取地には湘南・鎌倉・三浦半島のものも挙げられているので、中間的な性質でありながらもおよそボタンヅル寄りのものはボタンヅルとしたのだろうか。また丹沢や箱根で見たものも、コボタンヅルの性質が一部に出ている、あるいは出かかっている、と見なければいけないようなものが多い。はて、葉が絶対に一回三出複葉にしかならない生粋のボタンヅルなるものはあらんや。※本頁では、コボタンヅルの性質がさほど出ていない全体的にはおよそボタンヅルと呼んで構わないだろうものはボタンヅルとして掲載し、コボタンヅルの性質が多めに出現している個体は中間種との注釈を付した。

ボタンヅルの幼株 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/05

#ボタンヅルの幼株 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/05

ボタンヅルの幼葉 大和市・泉の森 2023/06/13

ボタンヅルの幼葉 大和市・泉の森 2023/06/13

ボタンヅルの枝先の若葉 小田原市早川・姫ノ水橋 2023/08/30

ボタンヅルの枝先の若葉 小田原市早川・姫ノ水橋 2023/08/30

ボタンヅルの葉 相模原市緑区・早戸川林道 2023/08/31

ボタンヅルの葉 相模原市緑区・早戸川林道 2023/08/31

ボタンヅルの葉 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの葉 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの葉 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの葉 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの葉の特徴 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの葉の特徴 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンンヅル(中間種)の葉 逗子市・森戸川源流 2018/11/23

ボタンンヅル(中間種)の葉 逗子市・森戸川源流 2018/11/23

頂小葉にコボタンヅルの性質が現れたボタンヅル(中間種) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

頂小葉にコボタンヅルの性質が現れたボタンヅル(中間種) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

ボタンヅルの葉裏 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの葉裏 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの茎と葉柄 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅルの茎と葉柄 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

センニンソウ同様に葉柄を絡ませて掴まるボタンヅル 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/21

センニンソウ同様に葉柄を絡ませて掴まる#ボタンヅル 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/21

似たような葉を持つものに、ハンショウヅル(半鐘蔓)シロバナハンショウヅル(白花半鐘蔓)があるが、この二種は小葉の柄(え)がだいぶ短いので、特に頂小葉の柄が異様に長いボタンヅルとは見分けられるだろう。あまり似ていないがツタウルシ(蔦漆)も誤認する可能性あるか。触るとかぶれることがあるので要注意。コバノボタンヅル(小葉の牡丹蔓)は葉も花も趣が異なるので混同はしまい。

ボタンヅルの花

白色の花弁(のように見えるが学術的には萼片)は四枚。コボタンヅルと同様か。少し大きめという話も。開花はコボタンヅルより僅かに早いか、気のせいか。

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場 2023/09/02

ボタンヅル 相模原市緑区・早戸川林道 2023/08/31

ボタンヅル 相模原市緑区・早戸川林道 2023/08/31

ボタンヅルとコボタンヅルは、蕊と花弁(萼片)の長さがほぼ同じ。センニンソウは、蕊より花弁(萼片)の方が明らかに長い。

ボタンヅルの実

コボタンヅルと同様か。痩果(そうか)表面に毛が多いという話も。湘南・鎌倉・三浦半島で見かけるボタンヅル(中間種)の果皮は毛がかなり少ない。

ボタンヅル(中間種)の熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30

ボタンヅル(中間種)の熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30

ボタンヅル(中間種)の熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30

ボタンヅル(中間種)の熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30

ボタンヅル(中間種)の発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2019/03/16

#ボタンヅル(中間種)の発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2019/03/16


東京都八王子市・高尾山(裏高尾、奥高尾)、横浜市栄区・横浜自然観察の森(ミズキの道13番トイレの隣長倉口側に中間種、同トイレ長倉口側奥に中間種か=近くで見れない、ミズキの道13~14番に中間種か、いずれも8月上旬か)

森戸川源流(中間種)

#花菜ガーデン(風ぐるま迷図にセンニンソウと混植、株が現存するかは不明)

大和市・泉の森、愛川町・八菅山いこいの森(八菅山いこいの森駐車場~大沢橋)、厚木市・自然環境保全センター(なし)、伊勢原市・仁ヶ久保林道(易往寺を北へ入る、ヤマビル・ツキノワグマ・イノシシに注意)、相模原麻溝公園(なし、花の谷のグリーンタワー相模原(展望塔)側「クレマチス 竹間」看板後ろでボタンヅルとして栽培されているが蕊の形状がどう見てもボタンヅルでない=雌雄異株の雌株化したような(雌蕊が発達して雄蕊が退化した)姿・正体不明、6月下旬~8月中旬、少しずつ開花してゆき一斉満開はしないか)、相模原市緑区・早戸川林道(ツキノワグマ・イノシシ・ニホンザルに注意)、相模原市緑区・神奈川県水産技術センター内水面試験場(西側フェンスに、葉が黄変しがち、刈られて再生するとコボタンヅルの特徴よく出る)、小田原市早川・姫ノ水橋、箱根町・明星ヶ岳~明神ヶ岳

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『日本の植物種子図鑑』 中山至大・井之口希秀・南谷忠志著 東北大学出版会発行(2000)

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