アズマイバラ

東茨 バラ目/バラ科/バラ属 花期/5月中旬~下旬

危険自生種稀少保護

アズマイバラ 小田原市・早川石丁場群付近 2018/05/26

アズマイバラ 小田原市・早川石丁場群付近 2018/05/26

丘陵地や低山地に生える落葉低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。日本に自生するバラ(薔薇)の一種。別名オオフジイバラ(大富士茨)、ヤマテリハノイバラ(山照葉野茨)。アズマイバラは知名度が低い上にぱっと見の姿はノイバラ(野茨)と瓜二つなため、ノイバラと誤認されているケースが非常に多いだろうと思う。

アズマイバラの特徴


横浜市栄区・横浜自然観察の森で確認したもの。地域性による違い等は今後の課題とする。


全体的な姿

ノイバラに同じ。

棘(とげ)

茎に対してほぼ垂直にぴんとまっすぐ尖る。ノイバラ(野茨)の(やや古い)棘は、根元の方に向かって先端がやや曲がって逆刺(ぎゃくし)になっている”烏帽子岩”形。「ノイバラではなくアズマイバラではないか?」と当たりを付けるには最高の手がかりである。なおノイバラの生えたばかりの若い棘も直立するので注意。

アズマイバラとノイバラの棘

托葉

ノイバラの托葉には蜜腺のような赤色の短い毛がたくさん生えており托葉全体がけばけばした印象、アズマイバラの托葉にはそのような毛が生えていないのでつるっとした印象、という明瞭な違いあり。

アズマイバラとノイバラの托葉

アズマイバラの托葉は細くて小さいものが多くて様子を確認するのが困難な場合が多い(大きめの托葉は太い茎近くで探すとよい)。また樹勢が悪くなる秋から翌春にかけては尚更托葉の判別は困難を極める。冬場は棘の違いで当たりを付けることしかできない。アズマイバラ探しは夏のうちに行いたい。
肉眼では細部が見えないので、ルーペで覗くか、写真を拡大して判別のこと。


以下、同定にあまり役立たないもの。


葉の形状

頂小葉(ちょうしょうよう)の先端が細長く伸びる。とされるが、そうとはいえないものも多い上にノイバラの葉もやや先細りするもがあり、同定の手がかりにはならない。(同定を済ませた後で、やっぱりアズマイバラの頂小葉は先が長く伸びる傾向がみられますね、という感想には至る。)

追記)小田原市・早川石丁場群付近で確認したアズマイバラの葉は、世にいわれる通りの典型的な形状ばかりであった。であるならば、横浜市栄区・横浜自然観察の森のアズマイバラは交雑が疑われる。

葉の色

表面(おもてめん)は濃い緑色。やや照る。確かに照りはあるものの海浜植物であるテリハノイバラ(照葉野茨)の葉のように硬くててかてかつやつやするほどのものではなく、照りを強調してしまうと同定に迷いが生じるおそれあり。ノイバラの葉も濃い緑色のものがある。

葉の手触り感

アズマイバラの葉はつるつるしていると聞いたことがあるが、ノイバラと明確な差異はない。

花期

アズマイバラはノイバラよりも少し時期遅く開花する。エゴノキ(斉墩果)スダジイ(須田椎)が見頃を迎えた頃にアズマイバラも咲いているか。

花数

アズマイバラの花はノイバラほど豊かな数をまとめて付けない。花数が少ないということは開花期間も短くなるため、アズマイバラの花が人目に触れる機会は減る。観賞にも劣る。

花柱

アズマイバラは有毛、ノイバラは無毛。


アズマイバラの変種とも別種ともいわれるフジイバラ(富士茨)との見分け問題があるが、フジイバラは山地型で丹沢や箱根に自生し湘南・鎌倉・三浦半島に分布しないので、本頁では触れない。

神奈川県内に自生あり。秦野や丹沢の方へ行けば普通種のようだが、宅地化が進行している湘南・鎌倉・三浦半島ではなかなか見かけないのではないか。

アズマイバラの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの托葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの托葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの托葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの托葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの大きな托葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの大きな托葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの托葉 小田原市・早川石丁場群付近 2018/05/26

アズマイバラの托葉 小田原市・早川石丁場群付近 2018/05/26

アズマイバラの花

花数が少ないのも影響して、毎年毎年、気づいたときには咲き終わっている。

アズマイバラ(ノイバラとの雑種か) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラ(ノイバラとの雑種か) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/05/20

アズマイバラの実


横浜市栄区・横浜自然観察の森(生態園=タンポポの道0~終、タンポポの道4~5、トンボ池=大きい株あり・花数多め=托葉の様子からノイバラとの雑種の疑い)

秦野市・くずはの広場、小田原市・早川石丁場群付近(観察最適、箱根登山鉄道入生田駅からの「太閤一夜城と長興山史跡巡りコース」沿いにもあるのではないか、5月中旬)

参考資料

『神奈川県植物誌2001』 神奈川県植物誌調査会編集 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(2001)

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