アマドコロ

甘野老　クサスギカズラ目／クサスギカズラ科／アマドコロ属　花期／4月中旬～下旬　結実期／10月　黄葉／10月～11月
学名／Polygonatum odoratum (Mill.) Druce var. pluriflorum (Miq.) Ohwi

食用薬用自生種改良種稀少保護

#アマドコロ　横浜市南区・こども植物園　2017/04/28

丘陵地の明るい草地などに生えるらしい多年草。有名なスズラン（鈴蘭）の仲間である。神奈川”県内では丘陵から山麓に普通に見られ”ると『神奈川県植物誌2018』にあるが冗談だろう。県内広域に分布はあるようながら、少なくとも湘南・鎌倉・三浦半島で自生のものを見かけることはまずない。まったくないというわけではないけれども、三浦丘陵のハイキングコースを何ヶ所か歩いたところでやすやすと出遭えるものでない。斑入り（ふいり）の葉が美しい園芸種がホームセンターで市販されており近年は人気を高めているようで、公園や民家の庭でちょくちょく見かけるようになった。フイリアマドコロ（斑入甘野老）とも呼ばれる斑入り品種は、花を愛でるというよりは観葉植物の扱い。ナルコラン（鳴子蘭）なる流通名で出回っていることもある。あるいはナルコユリ（鳴子百合）とも。春の山野草展でもナルコユリという名前が付けられ出品されている。が、本物のナルコユリ（鳴子百合）はよく似た別種である。野山で大量に見かけるホウチャクソウ（宝鐸草）は、花は似ているが、茎が分岐するので全体的な姿に大きな差異あり。参考）ホウチャクソウ、ナルコユリ、アマドコロの見分け方

アマドコロ　三浦市・黒崎の鼻　2017/05/22

#アマドコロ（フイリアマドコロ）　鎌倉市・大巧寺　2023/04/29

#アマドコロ（フイリアマドコロ）　鎌倉市・大巧寺　2017/05/05

#アマドコロ（フイリアマドコロ）　茅ヶ崎市・氷室椿庭園　2018/04/14

茎は分岐しない一本で、直立から（魚がかかっている釣り竿のごとく）しならせる。草丈は人の膝（ひざ、高さ50cm）程度。葉は（産地による）個体差あるも、基本的には幅広でふっくら丸いという印象を受ける。ナルコユリも一本茎であるが、葉はササ（笹）の葉を大きくしたような細身のものが多い。アマドコロは新芽が山菜として食用にされることも。

#アマドコロ（フイリアマドコロ）の群生　鎌倉市・大船フラワーセンター　2019/04/21

アマドコロの秋の葉　三浦市・黒崎の鼻　2017/10/09

#アマドコロにしては細い葉　横浜市南区・こども植物園　2017/04/28

葉裏の小脈上に細かな突起が多数あるものは変種でヤマアマドコロ（山甘野老）という。湘南・鎌倉・三浦半島にもあるとかないとかあったとか絶えたとか。

アマドコロの花

葉腋（ようえき）から葉柄（ようへい）をほぼ真下に伸ばし、ふつうは途中で二本ときに三本に分岐し、花はその先端に各一個付く。従って葉腋一ヶ所からはふつう花が二個か三個垂れ下がる。花被片が分かれて見えるのは先端部分のみで、完全には分離しない。ホウチャクソウとは違って、花はあっという間に咲き終わってしまうので注意が必要。開花を待っていたのに気づくと（特に数日降り続いた雨と重なろうものなら）いつの間にかもうしわしわにしぼんでしまっているなんていうこともざら。一つの小花がきれいに咲いているのはせいぜい三日程度か。およそゴールデンウィーク（4月末～5月初旬）の頃には咲き終わるだろう。ゴールデンウィークが過ぎてから開花し始めるようならナルコユリである疑い。