ミノムシ(オオミノガの幼虫)

蓑虫 昆虫/チョウ目/ミノガ科 見頃/12月中旬~2月

在来種稀少保護

神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧II類」

オリーブに付いていたオオミノガの幼虫(ミノムシ) 葉山町上山口・湘南国際村 2017/11/02

オリーブに付いていたオオミノガの幼虫(ミノムシ) 葉山町上山口・湘南国際村 2017/11/02

幼虫が蓑(みの)状の巣を作ってその中で生活をするガ(蛾)がいる。こうした性質を持つガの幼虫を総称してミノムシという。一般にミノムシといった場合はオオミノガ(大蓑蛾)とチャミノガ(茶蓑蛾)の二種を指す。このうち、大きくてよく目立つ、ミノムシの代表格に当たるのがオオミノガである。市街地も含めてどこにでもいる(いた)。秋、吐き出した糸で蓑を木に引っ付けてぶら下がり、冬を越す。春、十分に暖かくなってから蛹(さなぎ)に変態、一ヶ月後に羽化(うか)をするらしい。ミノムシは真夏を除いて一年中見ることができるらしいが、葉がなくなった冬枯れの幹にぶら下がるミノムシが冬場の風物詩となる。

オオミノガは最大のミノムシで、ふつうにどこでも見られる一般種。昭和時代(-1989)まではそうだった。梅雨時のカタツムリ(蝸牛)、夏場のセミ(蝉)カブトムシ(甲虫)などと同じくたいへん身近な生き物で、冬場のミノムシは子供の格好のおもちゃになっていた。それが現在は絶滅危惧種。オオミノガげ激減した原因はオオミノガヤドリバエ(大蓑蛾寄生蠅)なるアジア原産の外来のハエとされている。このハエの卵が付着した葉をオオミノガの幼虫が食べてしまうとオオミノガヤドリバエに寄生され、孵化(ふか)したハエの幼虫にオオミノガが食われてしまうのだという。

オオミノガの幼虫(ミノムシ)、中身は空っぽ 平塚市南金目 2017/02/13

オオミノガの幼虫(ミノムシ)、中身は空っぽ 平塚市南金目 2017/02/13

葉で大きな蓑を作り、木の枝から真下にぶらーんと垂れ下がっているのがオオミノガのミノムシ。なお蓑があっても中の幼虫はオオミノガヤドリバエに食われたあとでもう空っぽという場合も(もちろん羽化後の蓑も空っぽになる)。食われていなくとも既に寄生されてしまっている可能性も高いという話。

平成29年(2019)

湘南国際村でオリーブに付着していたミノムシを一個拾得。蓑を軽く摘まんだところ柔らかかったため中身は空っぽであると勘違いし、蓑を解体観察するために持ち帰った。蓑に使われているのはケヤキ(欅)の葉か。後日周辺を捜索したが他の個体の発見には至らなかった。ここ三年ほど外出する度にミノムシがいないか気にするように心掛けてはいるが、中身に出会えたのはただこの一匹のみである。

オオミノガの幼虫(ミノムシ) 葉山町・湘南国際村産 2017/11/06

オオミノガの幼虫(ミノムシ) 葉山町・湘南国際村産 2017/11/06

オオミノガの幼虫(ミノムシ) 葉山町・湘南国際村産 2017/11/06

オオミノガの幼虫(ミノムシ) 葉山町・湘南国際村産 2017/11/06

といったそばから二匹目に遭遇した。蓑の素材が古めかしかったため中身のいない蓑の残骸として持ち帰ったが、蓑側面にカッターナイフを入れたところで、中身がいらっしゃることがわかった。蓑の外装は硬くかちんこちんで、冬枯れの枝(樹種不明)にぷらんぷらんぶら下がるのではなくまるでチャミノガ(茶蓑蛾)のミノムシのごとくがっしりと固定されていた。糞を排出する蓑下方の穴も閉じられた状態。冬眠仕様の蓑なのかもしれない。中身が這い出してきて餌を探そうとする素振りはなく動かない。このまま蛹になるのか、春になれば動きはじめるのか──

オオミノガの幼虫(ミノムシ) 横須賀市・くりはま花の国 2017/12/10

オオミノガの幼虫(ミノムシ) 横須賀市・くりはま花の国 2017/12/10

オオミノガの幼虫(ミノムシの中身) 2018/04/04

オオミノガの幼虫(ミノムシの中身) 2018/04/04

オオミノガの幼虫(ミノムシの中身) 2018/04/04

オオミノガの幼虫(ミノムシの中身) 2018/04/04

オオミノガの幼虫(ミノムシの中身) 2018/04/04

オオミノガの幼虫(ミノムシの中身) 2018/04/04

平成30年(2018)

茅ヶ崎市萩園地区の小規模公園に植えられたハギ(萩)の枝に小さなミノムシを多数発見。二十匹以上はあったか。気温三十度を超えるような炎天下でも平気らしい。夜行性なのか、活動しているものはなかった。

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ)、開封して中身の生存を確認 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ)、開封して中身の生存を確認 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

ハギに付いていたオオミノガの幼い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/08/04

市街地の川沿いに植えられた木に一匹。

エノキに付いていたオオミノガの若い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市下町屋 2018/08/05

エノキに付いていたオオミノガの若い幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市下町屋 2018/08/05

茅ヶ崎市萩園地区のミノムシのその後── ハギが葉を落としたところで個体数を確認したところ、ざっと数えて39個の蓑を見つけることができた。(既に冬眠に入っているため、開封しての中身確認は行わなかった。若干数は中身が空っぽの古い蓑かもしれない。)

冬枯れのハギの枝で越冬するオオミノガの幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/12/28

冬枯れのハギの枝で越冬するオオミノガの幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2018/12/28

のちハギが長く伸びた枝が切られことでオオミノガ滅失。翌年の令和元年(2019)も滅失したまま。

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