アカハライモリ

赤腹井守 両生類/有尾目/イモリ科/トウヨウイモリ属 繁殖期/4月~6月 見頃/5月

有毒薬用在来種稀少保護

環境省レッドリスト2018「準絶滅危惧(NT)」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧I類」

アカハライモリ 岡山県産 2018/04/04

アカハライモリ 岡山県産 2018/04/04

腹が赤いのでアカハライモリ。略称アカハラ。単にイモリ、あるいはニホンイモリ(日本井守)といっても本種を指す。英語でニュート(Newt)。ヤモリ(家守)と混同せぬよう。

井守の名は、井戸に棲みつきまるで井戸の守り神のようだという意味。井の字は水田を象形するのではないかとの説もあるが、それならタモリ(田守)と呼べばよく、わざわざ紛らわしい井戸の井の字を使うことは自然でない。井は農業(稲作)に欠かせない用水路を意味したとの説もある。そうであるなら生活を支える用水路の守り神のように捉えたか。合点がいく。

イモリとヤモリの違い

イモリ(下、黒っぽい方)とヤモリ(上、白っぽい方)

どちらもトカゲ体形で名前が紛らわしいのだが、まったくの別種。あまり身近な生き物ではなくなってしまったせいか、何度説明しても覚えてもらえない。


イモリ
イモリ

正式名称=アカハライモリ
井戸の守り神。
田んぼなどの水中にいる。
黒い、腹は赤い。
肌はざらざら。
両生類。

ヤモリ(若い個体)
ヤモリ(若い個体)

正式名称=ニホンヤモリ
家の守り神。
家の窓ガラスや壁にへばりつく。
薄茶色。
肌はぷにぷに柔らかい。
爬虫類。

イモリは両生類なので、カエル(蛙)やサンショウウオ(山椒魚)の仲間。トカゲ(蜥蜴)やヘビ(蛇)は爬虫類である。

アカハライモリ 岡山県産 2016/09/20

アカハライモリ 岡山県産 2016/09/20

皮膚はざらざらのいわゆるサメ肌でやや硬め。カエルのようなつるつるぬるぬる感はまったくない。

寒い時期には冬眠するが、それ以外は通年見られる。観察は繁殖期の5月頃が最もしやすいか。田んぼ、用水路の溜まり水、池など浅めの止水中に生息し、ミミズや小さな昆虫などを食べる。水中に(ブタやニワトリの)生レバーを放り込んでやれば、匂いに釣られて水底に隠れていたものが姿を現すかもしれない。夜の方が活動的。水中生活を好む割に成体は鰓(えら)ではなく肺で呼吸をするため、水面から顔を出して息継ぎをする必要がある。常に水中で生活するわけではなく、陸へもよく上がる。

イモリは、数多く生息している地域ではごく普通に見られるありふれた生き物だが(そのためペットショップでは1匹300円程度とたいへん安価で販売されている)、神奈川県内ではとても稀少になってしまっており見かけることはまずないに等しい。三浦半島(横須賀市、葉山町)や丹沢方面(秦野市など)などにいることはいるようで、子供たちの田植え体験会の際にしばしば発見されている。

オスは、尾を横から見ると幅広で、先端で急に細くなる。メスの尾は長めで、徐々に細くなってゆく。

アカハライモリ 岡山県産 2016/09/20

アカハライモリ 岡山県産 2016/09/20

イモリは有毒で、フグと同じテトロドトキシンを分泌するとされる。腹が赤いのは有毒であることを警告するためだとか。ただしイモリが原因で人が死亡した、あるいは中毒を起こしたという例は確認できなかった。そもそも日本では「イモリの黒焼き」が惚れ薬とされ食べられてきたほど(テトロドトキシンは加熱しても分解されない)。イモリを触った手で目を擦るなどしない、手洗いをする、とりあえずこの二点さえ守っていればさほど危険視する必要はないのではないか。

アカハライモリの赤い腹 岡山県産 2016/09/20

アカハライモリの赤い腹 岡山県産 2016/09/20

腹部の紋様は個体差あり、まったく一定でない。

いずれ、神奈川県在来のアカハライモリをご紹介できればと思う。


馬堀自然教育園(上の池に通年生息 ※採取禁止、平成29年(2017)6月現在 池周辺立入禁止)

アカハライモリの飼育方法

飼育自体はとっても簡単だが、イモリの寿命は20年とも30年ともいうので、責任をもって飼うことができないならばはじめから飼わないこと。小学四年生(10歳)で飼い始めると初老(40歳)になるまで飼い続けなければいけない。生き物には地域個体群というものがあり、同じ種類であっても棲む地域によって微妙に異なる進化発展を遂げている。飼い飽きたからといって(地元産でない個体を)その辺の野山に投棄することは、アフリカ・マサイ族に日本人のDNAを強制人工授精させるような暴挙なので絶対にやめていただきたい。

アカハライモリ 岡山県産 2016/09/05

アカハライモリ 岡山県産 2016/09/05

壁にのぼるアカハライモリ 岡山県産 2015/12/02
壁にのぼるアカハライモリ 岡山県産 2015/12/02
飼育容器は脱走防止のため蓋付きのものにする。容器はできるだけ大きなものがよいに決まっている。
5cm以上の水(水道水でよい)を張り、水中で身を隠せる場所、水から上がれる陸地(大きなアナカリスで代用できる)を作る。それだけ。水は一週間に一度か二度、糞で汚れてきたなと感じたら速やかに替える。
底に敷く砂利、水草、酸素ポンプ(エアレーション)などは不要である。

それ以上は、”生き物の飼育は、その生き物が本来生活していたような環境を整えてやるのがよい”という鉄則に従って好き好きにこだわって整備(するなら)してやればよい。

気温35℃を超えるような猛暑には耐えられない可能性があるため、熱射病死を避けるために真夏でも30℃未満(20~25℃程度推奨)を維持すること。野生環境においてはイモリが生息する田んぼなどには常に流水が注ぎ込まれており、その水は意外とひんやりしていて冷たい。お湯といった方がいいような高温の水中では飼育しないこと。冷凍させた保冷材を保冷バッグに包んでイモリの飼育容器上に乗せるなどして、必ず冷却を。※冷却具が結露するとその周辺の家具などに黒カビが発生しやすいので注意されたい。

アカハライモリの餌

基本的に肉食。餌は、固形の配合飼料を食べてくれるので楽ちんだ。安価で済ませたいならダイソーで売っている「金魚のえさ」「ザリガニのえさ」で十分。二三粒を水中(水面)へ放り込んでやれば勝手に食べる。ホームセンターのペットコーナーにある「ひかりウーパールーパー」(キョーリン)、あるいはカメ(亀)用のものでもよい。
餌探しは目と鼻の両方を駆使して行っているようだが、餌捕り(ターゲットに鼻を近づけて匂いを確認し、口で水ごと一気に吸い込む)は下手くそ。ただイモリはカエルやサンショウウオと違って活発に動き一生懸命食べてくれるので、餌やりに関する心配はほとんど必要ないのではないか。そういった意味でもたいへん飼いやすい生き物といえる。餌やりを続けていれば人の気配にも反応して、じたばたとこちらへ向かってくるようにもなる。

固形飼料の他、冷凍アカムシ(ペットショップで販売している)を解凍したもの、叩き殺したカ(蚊)、植木鉢の下で拾ったワラジムシ(草鞋虫)なども与えやすく、よく食べる。その他、庭で捕まえたバッタ(飛蝗)、部屋に侵入したハエ(蠅)やガ(蛾)、ザリガニ捕りをすると一緒に網に入ってくるヌマエビ類など、口に入るものは大抵食べる。食欲旺盛ですぐ餌に目がくらむため、ピンセット給餌にもよく慣れる。

普段は鈍臭いイモリだが、小魚が視界に入ると急にスイッチが入って俊敏に捕らえることができる。メダカ(目高)を一緒に飼えば格好の餌になる(はず)。のんべんだらりとペット生活を謳歌している個体は運動能力が低下して活メダカを捕食できない可能性も。

餌のやりすぎには注意が必要。イモリは”餌を与えすぎて死なせてしまった”という報告が異様に多いのが特徴。餌はやればやるだけ食べてしまうので、一回につき少量しか与えないこと。餌やりは中一日ないし、中二日、なんなら中三日で十分。慢性的な運動不足に陥ってしまう飼育環境下ではそれでもメタボっ腹になってくる有様だ。餌は少なめに。

配合飼料と冷凍アカムシを与えていれば糞尿に悪臭なし。静か(鳴かない、足音立てない)。

湘南・鎌倉・三浦半島で見られるトカゲ形生物一覧


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